「賭け」に出る。それは大いなるベネフィットを得る可能性があると同時に、全てを失うリスクも抱える。果たして、彼女は賭けに成功したのか否か。元アイドルにして女優の小泉今日子(54)が「新境地」に挑んだ。役柄としてではなく、「素」の人間として――。
「ヤマトナデシコ七変化」
「なんてったってアイドル」
「あなたに会えてよかった」
「可憐」に歌っていたキョンキョンが、まさかこうも「勇猛果敢」に変身するとは誰が想像しただろうか。
「#検察庁法改正案に抗議します」
小泉今日子の七変化……。
「黒川検事長問題」は賭け麻雀発覚で辞職という結末を迎えたが、彼を追い込むにあたり「リーチ」をかけたのは、小泉をはじめとする芸能人の抗議活動だった。
「小泉さんがツイッター上での抗議活動に参加したことで、彼女クラスの大物が声をあげたのなら私もとなり、他の芸能人にも波及していきました」(芸能記者)
また、彼女が動いたことによる余波は芸能界に留まらず、「芸能人だって政治的発言をしてもいいじゃないか!」というムーブメントを世の中に生み出しもした。
そして怯(ひる)むことのない小泉は、新たな「タブー」に挑戦。日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」5月31日付の1面に登場したのだ。そこで劇作家の渡辺えりと対談した彼女は、
「日本の国は、日頃から文化に温かくないなと感じます。韓国なんて、国が映画を支援して、完全に日本を追い越しちゃったでしょう。日本だって、やる気になればできるはずです」
と、「政府批判」。これを共産党が「利用」しない手はなく、
「ある地方議員は、これを機に赤旗を読んでほしいと宣伝していました」(共産党ウォッチャー)
覚悟の先に…
政治ジャーナリストの山村明義氏は、
「芸能人が政治的な発言をすること自体は問題ありません。当然のことですが、誰がどんなことを言おうと、日本では言論の自由が保障されているわけですから」
としつつ、こう釘をさす。
「一方、影響力のある芸能人を、政治の側が利用しようとするのも当然の戦略です。小泉さんのように反政府的なことを言えば、野党はそれを上手く使おうとする。政治的な発言をするのであれば、その覚悟を持った上で行うことが必要だと思います」
近年の小泉は俳優の豊原功補との不倫を公言し、大手プロダクションのバーニングとも袂(たもと)を分かつなど、「覚悟」を決めたようにも映る。最近は専らプロデューサー業に力を入れているが、必ずしも順風満帆ではないという。なんてったって元アイドル、スポットライトが恋しくないはずがない。畢竟(ひっきょう)、彼女の覚悟の先には次のような道が……。
芸能リポーターの城下尊之氏がこう見立てる。
「小泉さんが政治的な発言をするのは『新しいキョンキョン像』を模索しているからだと思います。赤旗への登場はまさに彼女の新しい一面。これをきっかけに、参院選に出馬してほしいと持ち掛けてくる政党も出てくるでしょうね」
赤旗に会えてよかった?
「週刊新潮」2020年6月18日号 掲載
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