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アクティブ運用各社、自己改革待ったなし-強気相場終われば窮地に - ブルームバーグ

ティー・ロウ・プライス・グループはわずか2年間で1270億ドル(約19兆円)もの資金流出に見舞われた。 フランクリン・リソーシズの低迷は何年も続く。 アバディーンのトップは、単に投資信託を運用するだけではもはやビジネスが成り立たないとの考えすら示している。

  100兆ドル規模の資産運用業界で過去10年間に起きたのは、より安価なパッシブ運用商品を求める投資家が起こした地殻変動だ。そして今、各社はさらに厳しい状況に直面している。存続を脅かしかねない脆弱(ぜいじゃく)性を覆い隠してきた前例のない強気相場が終わるかもしれない。

  ボストンコンサルティンググループ( BCG)によれば、2006年以降、運用会社が追加で確保した収入の約90%は単に相場の上昇によるもので、新規顧客の資金集めによるものではないという。

Rare Winner

BlackRock pulls in investor cash as others struggle

Source: Company data

  多くの上級幹部やコンサルタントは、緩やかに衰退する業界が崖っぷちに立たされるような事態になるにはそれほど時間はかからないと警告している。弱気相場があと1回来れば、運用各社の多くは修復不可能な状態に陥る公算が大きいという。

惰眠

   ブロードリッジ・ファイナンシャル・ソリューションズで資産運用グローバルアドバイザリー事業の責任者を務めるベン・フィリップス氏は「何十年も惰眠を貪ってきた多くの企業が、もはやそうできなくなるという意味で最終段階だ。これらの会社は変わらなければならないし、それを成し遂げなければならない」と述べる。

  18年以降、ティー・ロウとフランクリン、アバディーン、 ジャナス・ヘンダーソン・グループ、インベスコの投資ファンドから6000億ドルを超える顧客資金が流出した。これは、英最大級の投資運用会社であるアバディーンが運用する全資金よりも多い。これら5社は、過去10年間に巨額の顧客資金を流出させた業界の中心に位置する。

  ミューチュアルファンド離れを進める投資家は、 ブラックロックやバンガード・グループ、ステート・ストリートなど巨大運用会社が手がける安価なパッシブ戦略にシフトしている。

Investors Flee Active Funds

They have piled into cheaper passives

Source: Investment Company Institute

  ただ、地政学的緊張と高金利が続く現状においては、ブラックロックでさえも痛みを感じている。同社の長期投資ファンドから今年7-9月に顧客は純額130億ドルを引き揚げた。これだけ大規模な資金流出は20年の新型コロナウイルス大流行開始時以来だ。

  ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は今月、「ビジネスモデルとテクノロジー、そして何よりも金融・財政政策における構造的かつ長期的な変化が、この2年間を伝統的な資産運用にとって極めて厳しいものにした」とアナリストに語った。

不可逆

  ブルームバーグ・ニュースは、ティー・ロウとフランクリン、アバディーン、ジャナス、インベスコの5社における5年以上の資金の流れや手数料、投資パフォーマンス、収益、利益率、そして業界全体の傾向を分析し、アクティブ戦略を採る運用各社がかつてないほど大きなリスクにさらされていることを突き止めた。

  5社の株価がその苦境を示唆している。ティー・ロウを除き、各社とも18年初め以来3分の1以上値下がり。この間、S&P500種株価指数が約60%上昇したにもかかわらずだ。アバディーンの決算発表は半年ごとだが、その他の4社はインベスコを筆頭に今後2週間にわたり四半期決算を発表する。

 

Shrinking Fees

Fee revenue for active products has slumped

Sources: Investment Company Institute, Lipper, and Morningstar

  厳しい運用環境になれば、顧客は株式・債券銘柄を積極的に選別する運用会社に戻り、その対価を支払ってくれるだろうという期待はあるが、アクティブ運用商品の不人気は不可逆的なようだ。

  ブルームバーグが資産運用会社から入手したデータによると、パッシブ運用商品は相場の上昇・下落に関係なく大きな支持を集めており、今年半ばには米国のミューチュアルファンド・上場投資信託(ETF)全資産の半分を占めるまでになった。10年前はわずか27%、21年は44%、22年は47%だった。

  アクティブ運用各社は状況を好転させるため無数の試みを行ってきた。手数料を削減し(その結果、収入は減少)、ライバルと合併し(解決した以上の問題が生じた)、ESG(環境・社会・企業統治)のようなさまざまな流行を取り入れ、自分たちの優位性を高めようとした(そして結局、差別化というより、ライバルに似てしまった)が、どれもうまくいかなかった。

  ドイツ銀行の資産運用部門DWSのステファン・フープスCEOは、「過去10年間、増収の100%以上が市場パフォーマンスによるもので、単に相場上昇のおかげだった。マーケットが横ばいになり、同じようにマージンが圧縮されたとしよう。そうなると、突然、10年に及ぶ減収に直面する可能性がある」と指摘している。

Scale Matters

Smaller managers are at a disadvantage

Source: Deloitte

  フランクリンは18年以降、市場の好況時や買収後でさえ、2四半期しか長期資金の純流入がなかった。ジャナスは21四半期連続の資金流出後、今年1-3月(第1四半期)に資金流入に転じたが、再び流出が始まった。アバディーンは17年の合併を通じた誕生以来、純流入を記録した年はない。

  ティー・ロウのファンドからは21年半ば以降、巨額の資金が流出し、運用報酬収入が15%余り落ち込んだ。インベスコは3年にわたりほとんど収入が伸びていない。

  対照的に、資産運用業界でグローバルな存在感を示すブラックロックは、5社合計の倍近い資産を持ち、長期投資ファンドへの純流入額は18年初めから今年半ばまでに計1兆7000億ドルに達した。

内向き志向

  世界の資産運用会社上位20社に助言する アルファFMCのアソシエートディレクター、エバン・スカルスキ氏は「中堅クラスの運用会社は今のシナリオで有機的に成長することはできない。コストを管理し、現在のビジネスを継続させることは可能だが、低成長か、あるいは全く成長しないことを覚悟しなければならない」と予想している。

 

Losing Battle

Managers struggle to stem outflows

Sources: Morningstar, Bloomberg

  こうした厳しい状況を端的に示す一例が、ジャナスの「 リサーチ・ファンド」だ。このファンドは、ロンドンに本社を置くジャナスが、1990年代のハイテク株ブームを機に米国内で生まれた最高のアイデアに投資することを目的に93年に設定された。資産170億ドルで、同社にとって米国で3番目に大きなファンドだが、同社のウェブサイトと投資調査会社モーニングスターによると、過去8年にわたり毎年ラッセル1000グロース指数を下回る成績となっている。

  ジャナスの広報担当者は電子メールで、こうした課題を認め、昨年の早い時期に運用成績改善を狙いファンドのポートフォリオを変更したことを明らかにした。今月16日までの1年間、同ファンドのパフォーマンスはベンチマークを上回っていると広報担当者は説明した。

  マドリードで9月後半に開催されたジャナスの顧客会議からブルームバーグ・ニュースの取材に応じた同社のアリ・ディバジCEOは、業界の問題の多くはその内向き志向に起因しているとの認識を示し、「歴史的にこの業界は実際の顧客ニーズを考えることなく、空白の中で新商品を生み出してきた」と語った。

  顧客がその会社がどんな商品を用意しているのかさえ知らないようなもどかしい会議に出席したことがあると話した同CEOは、「それは私にとって驚きであり厄介なことだった」と打ち明けた。

議論の余地なし

  インベスコとフランクリンはこの記事へのコメントを控え、CEOへのインタビュー要請に応じなかった。ティー・ロウは課題を認めるコメントを発表し、株式・債券戦略へのフローが今後増加する見込みで、より幅広い商品の提供に取り組んでいると明らかにした。ティー・ロウのCEOはこの記事に関する取材を断った。

  アバディーンのスティーブン・バードCEOは大型株ファンドでの競争をほぼ放棄し、代わりに小型株と新興国市場戦略の重視を選択。ミューチュアルファンドと個人投資家にもサービスを提供するウェルス部門、ファイナンシャルアドバイザー向けプラットフォームという3つに事業を縮小した。

  2年前からアバディーンの指揮を執る元シティグループ幹部のバード氏はインタビューで、「ビジネスモデルを変えなければ、資産運用の手数料圧縮とオーバーキャパシティーによって追い出されることになる」と述べ、ETFがビジネスを変えたと強調。「議論の余地はない。純粋なアクティブ資産運用だけではないビジネスが必要だ」と明言した。

原題: Money Managers With $100 Trillion Confront End of Bull Market (抜粋)

 

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