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地球の磁場は「マグマの海」が生み出した…系外惑星でも同様か。大気と生命の可能性高まる - Business Insider Japan

コンピューターモデルによって描かれた地球のコア内部の想像図。

コンピューターモデルによって描かれた地球のコア内部の想像図。

Aubert et al./IPGP/CNRS Photo library

  • 地球には少なくとも34億年前から磁場が存在しており、破壊的な太陽風から大気を保護している。
  • ここ10億年ほどは、地球の外核で対流する液体金属の層が、磁場を生み出している。そして、この層に生じる変動によって、磁場の一部が弱まってきている可能性がある。
  • しかし、最初の数十億年間に磁場を生み出していたのは別のもの、例えば地球の核(コア)に存在したマグマの海であったとする研究が発表された
  • 太陽系外の地球型惑星にも、磁場の起源となりうるマグマの海が存在するかもしれない。
  • それは、宇宙には大気をもつ惑星が、これまで考えられていたより多く存在する可能性があることを意味する。

地球の磁場は、恐ろしい破壊力をもつ太陽放射からこの惑星を守っている。磁場がなければ、太陽風によって地球の大気は剥ぎ取られ、海の蒸発も進み、地球の生物はすべて死滅してしまうだろう。

こうした地球のセーフティネットは、少なくとも34億年前から存在している。現在の磁場は、地球の外核(アウター・コア)の液体金属が対流することで生み出されている。しかし研究者によると、液体金属の対流が磁場を生成しているのはここ10億年ほどに過ぎず、それ以前は、地球の核(コア)では十分な対流が起こっていなかったという。

ここに謎が残る。液体金属の前には、何が地球の磁場を生み出していたのだろうか。

2020年2月に発表された研究が、その答えとなりうる仮説を提示している。それは、かつて地球の深部に、基底マグマオーシャン(basal magma ocean)と呼ばれる液体の層が対流しており、初期の地球磁場を生み出していたとする説だ。この磁場のシールドは、生命の発達に重要な役割を果たした。

この研究論文の主著者ラーズ・スティクスルード(Lars Stixrude)はBusiness Insiderに対して、「地球上には35億年から40億年前から生命が存在したことが分かっている。生命が発達するにはそれに適した環境が必要であり、そうした環境を構成するひとつの要素が磁場だった」と語った。

スティクスルードのチームはまた、かつて地球深部に磁場を生み出すマグマが存在していたとすれば、太陽系外の惑星にも同様のものが存在すると考えている。すなわち、系外惑星にも、これまで知られていなかった「大気を保護する磁場シールド」が存在するかもしれないのだ。

太陽系外惑星「HD 219134 b」の想像図。K型主系列星を公転するスーパーアース(巨大地球型惑星)だ。

太陽系外惑星「HD 219134 b」の想像図。K型主系列星を公転するスーパーアース(巨大地球型惑星)だ。

NASA

磁場の起源は一つではない

現在の地球の磁場は、地下約2900キロメートルにある外核を構成する、液体のニッケルと鉄の対流によって発生している。この対流が生み出す電流によって磁場が生成されるわけだ。

地球の磁場は安定していない。その強さは常に増減しており、地球のコアの状態によって変動する。2020年5月には、人工衛星による磁場の観測データから、この200年間に磁場が9%弱まっていることが明らかになった。南大西洋上にある磁場の弱い領域が、過去50年間に拡大していることも原因の一つだという。

地球のコアは、直径約6400キロメートルにおよぶ球状構造だ(コアは、液体の外核と、固体の内核に分かれている)。溶けた金属でできた外核の内側に内核がある。内核の大きさは月と同じくらいだが、時間とともに成長している。内核の成長、および内核と外核の間で生じる熱移動が、磁場の生成に必要な電気エネルギーを外核にもたらしている。

しかし、今から10億年前まで、地球の内核の冷却速度は、対流で磁場を生成するのに必要なエネルギーを外核にもたらすには不十分だった。

「では、何が最初に地球の磁場を生み出したのか。それを説明する答えがなかなか見つからなかった」とスティクスルードは言う。

地球の磁場の想像図。

地球の磁場の想像図。

Shutterstock

答えを見つけ出す試みとして、スティクスルードのチームはシミュレーションを生成し、どのようなコア層であれば、磁場を生成するのに十分な電流を生み出すことができるかを探った。

その結果、「溶けたマグマの海」が、磁場の生成を可能にすることが分かった。

スティクスルードのチームは、この溶けたマグマの層の寿命はおそらく10億年から20億年だったとみている。その後は、外核の液体金属がマグマに代わって磁場を生み出すようになった。

「両者の切り替えが起こった時期はわからない」とスティクスルードは述べている。

切り替えが起こった時期には地球に磁場が存在しなかった可能性もあるが、古い岩石に磁場が途切れた明確な痕跡はみられないという。

地球以外の惑星にも「マグマの海」が存在する可能性

地球の磁場は、破壊的な太陽放射を遮り、大気を保護するシールドの役割を果たしている。もし磁場がなくなれば、最終的に大気はなくなってしまうだろう。これと同じことは、太陽系外惑星にも当てはまる。

「多くの惑星が、生命が生息可能な温度の基準を満たしている。しかし第2の条件として、地表と大気を守る磁場をもたなければならない」とスティクスルードは言う。

太陽系のさまざまな惑星は、起源の異なる磁場をもっている。水星の現在の磁場は、地球と同様に、溶けた鉄のコアから生み出されている(かつては火星もそうだった)。一方、木星と土星の磁場は、金属水素の対流エンベロープ(コアの周囲にある層)によって生じている。また、天王星と海王星という「巨大氷惑星」の磁場は、流動的な氷の層によって生み出されている。

木星の磁場のイラスト。アメリカ自然史博物館のプラネタリウムショー「ワールド・ビヨンド・アース」(Worlds Beyond Earth)より。

木星の磁場のイラスト。アメリカ自然史博物館のプラネタリウムショー「ワールド・ビヨンド・アース」(Worlds Beyond Earth)より。

Aylin Woodward/Business Insider

太陽系外惑星を研究する研究者たちにとって、初期地球の内部に存在したようなマグマの海は、「磁場の起源」のリストに新たに加えるべきものだ。マグマの海は特に、主星との距離が地球よりも近い系外惑星における「磁場の起源」に当てはまる。こうした惑星では、現在の地球と同様のしくみで磁場が生成されるには、コアが高温すぎる可能性があるからだ。

「系外惑星は、基底マグマオーシャンのなかで生成される磁場をもつ可能性のほうが高い」とスティクスルードは述べている。

これは、大気があり、生命が存在する惑星が、これまで研究者が考えていたよりも多く存在する可能性があることを意味する。

[原文:Earth's magnetic field first formed thanks to a magma ocean, research shows. That means more planets in the universe could have atmospheres than we thought.

(翻訳:高橋朋子/ガリレオ、編集:Toshihiko Inoue)

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