東芝は、少量多品種を生産する半導体製造工場で、異なる種類の製品に共通して発生する重大な不良を早期に発見できるAIを開発したと発表した。個々の製品のデータが十分に得られない場合でも、複数の製品のデータを統合することでデータ量を増やして機械学習を行い、不良を高精度に分類できるという。
同技術を、東芝デバイス&ストレージ傘下の半導体工場に導入したところ、1日1人当たり4.2時間かかっていた不良監視作業が、約8分の1となる30分に短縮できたという。今後、社内外の半導体工場への適用拡大を目指す。
半導体製造では、AIを使って不良を早期発見する取り組みが進んでいる。その際、不良の種類や発生場所といったデータをAIで分類するのだが、AIで高精度に自動分類するためには、大量のデータが必要になる。
一方、多品種少量生産のニーズも高まっている。生産量が少ない製品は品質データも少ないためAIで不良を分類する際の精度が低下してしまう。また、種類が多い場合は、製品ごとに自動分類の結果を人が確認する必要があり、手間が増えてしまう。
新技術では、ウエハー上の製品チップ数が異なる製品同士で、品質データの特徴量を共通に扱う「製品またぎ処理」を行うことにより、異なるの製品の品質データを1つの品質データに統合。少量生産の半導体でも、複数まとめることでデータ量を増やし、分類の精度を高めた。
統合品質データの分類結果は、製品ごとに集計・可視化できる。複数の種類の製品に共通する重大な不良を確認したり、ある製品で何種類の不良が起きているか確認したりすることが可能だ。
公開データを用いた実験では、44製品の品質データを共通に扱うことで、全製品の分類精度が75.3%から83.3%に向上。少量製品では、分類精度が最大で50.0%から87.5%に向上したという。
同技術の詳細は、6月9日〜12日にオンラインで開催される人工知能学会全国大会で発表する。
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