東京株式市場で1日に起きた現物株売買の終日停止という事態は、市場参加者らからも史上最悪の出来事と非難を浴びた。世界第3位の規模を誇る証券取引所は、たった1台のハードウェアの故障で機能不全に陥った。取引は2日、無事再開されたが疑問が解決されたわけではなく、再び起きる可能性は捨てきれない。何が起きたのかを時系列で検証する。
午前7時4分
東証が株式売買システムのアローヘッドに問題があることに気付く。多くの国内企業で下期の会計年度が始まる日だ。
午前8時
株式注文の処理が開始すると、証券会社のトレーダーが利用する情報端末には板情報が表示されるようになる。だが多くのトレーダーには何も見えなかったという。「気配値が表示されないので、何らかの障害が起きたのではないかと感じた」と、丸三証券エクイティ部株式営業課・秋場正也氏。このころには、株価情報の配信で障害が発生したことが広く認識される。
午前8時1分
取引所が最初の連絡を行う。証券会社のシステム管理者に、何らかの問題があったことを通知。
午前8時5分頃
ツイッターでうわさが広がり始める。トレーダーは、コンプライアンスの厳しい社内のシステムとは別に、ツイッターなどから情報を取得することがある。
午前8時39分
取引所がようやくニュースリリースを配信。公表の不在は多くを暗闇に残していた。証券会社に取引通知が伝わったのはその3分前のことだった。
午前9時
通常の株取引が開始される時間だが、取引が行われることはなかった。水戸証券投資顧問部の酒井一チーフファンドマネジャーは「当初、問題は1時間程度で解決するのではないかと思った」と話す。だが、時間が立つにつれ大変なことになるんじゃないかという不安が膨らんだという。
午前11時50分頃
三菱UFJ国際投信・戦略運用部の石金淳チーフストラテジストは終日売買停止になったことを知り、これは大変なことになると思ったという。投信のファンドの解約や設定に支障が出るためだ。
アローヘッドは注文と取引を処理する高性能サーバー約350台で構成される。2010年に運用が始まった同システムは、処理のスピードの速さから「矢」、堅牢と信頼性を象徴する「頭」にちなんで名付けられた。今回の障害の原因は2つあるシステムのうちの一方で故障が起きたためだと説明された。
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