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美しすぎる太陽系の写真15選 - ギズモード・ジャパン

宇宙には、およそ1兆個の銀河があると言われています。

その1兆個のひとつである天の川銀河には、およそ2000億個の恒星があると言われています。

その2000億個のひとつである太陽には惑星が8つ。そして、それらのうち唯一ハビタブルゾーンに含まれている地球に、わたしたちは生を授かったわけです。

そんなちっぽけな存在である人間が科学の力で無人宇宙探査機を飛ばすようになり、太陽や、惑星や、衛星や、彗星や、小惑星の姿を次々と明らかにしてきました。

もう、ものすごいロマンとしか言いようがないじゃないですか。いざ、太陽系のめくるめくロマンの旅へ。

火星のオリンポス山

オリンポス山のCGイメージ。
Image: NASA/MOLA Science Team/ O. de Goursac, Adrian Lark via Gizmodo US

火星のオリンポス山は、太陽系随一の大きさを誇る火山であり、いろんな意味でハチャメチャです。

直径はざっと600キロメートル。北海道が収まるぐらいの大きさです。山頂は周囲の平原から2万4000メートルも高くそびえ、頂上のカルデラは富士山がすっぽり入ってしまうほどの大きさです。

火星の低い表面重力と頻繁な噴火活動が相まって、大量の溶岩流が今のかたちに固まったと推測されています。

氷の剣がそそり立つ冥王星の表面

冥王星の変化に富んだ地形。ニュー・ホライズンズが2015年に行なったフライバイ時に撮影。
Image: NASA/JHUAPL/SwRI via Gizmodo US

月より小さな冥王星は、かつて太陽系の第9惑星でした。しかし1992年以降、冥王星より大きな太陽系外縁天体の発見が相次いだことから、2006年に「準惑星」に降格。まあ、冥王星からしたら知ったこっちゃないんでしょうが。

若干見くびられていた冥王星ですが、2015年にはNASAの無人探査機ニュー・ホライズンズが初めてフライバイに成功し、その驚くべき姿をつまびらかにしました。上の画像で霜が降りたように細かく粒だって見えるのは、「ペニテンテ」と呼ばれる巨大な氷の剣です。高層ビル並みの高さを誇り、最長500メートル。もっと小さなものであれば地球でも見られるそうです。

数百万年前に冥王星の表面で凍ったメタンが高度が高いところから少しずつ気化していった結果、今のようなかたちに風化したと考えられるのだとか。木星の惑星・エウロパにも同様の地形が見られるそうです。

この写真が示しているように、冥王星の表面は変化に富んでいることから、地質活動があると考えられています。

タイタンの幻の島

ある時は見え、ある時は消え。
Image: NASA/JPL-Caltech/ASI/Cornell via Gizmodo US

土星の衛星タイタン。太陽系の中でもっとも異質な場所かもしれません。

分厚い大気に覆われ、メタンとエタンの雨が降ります。炭化水素の海、巨大な砂嵐、そして氷を噴出する火山が見られるのもタイタンならでは。

NASAのカッシーニは、2013年にタイタンの大海のひとつ、リゲイア海で260平方キロメートルほどの島を発見しました。しかし、ここは以前は何もなかった場所。発見から数ヶ月後には完全に消えてしまったのですが、その後2014年にまた現れたのです。

一体これが何なのかははっきりしておらず、波か、泡か、流氷か、もしくは三角州とも言われています。または、季節の変わり目に応じる現象なのかもしれないそう。タイタンには、なにしろ謎が多いのです。

太陽系でもっとも深い谷

天王星の衛星ミランダのヴェローナ断崖。
Image: NASA/Voyager 2 via Gizmodo US

天王星の衛星ミランダにあるヴェローナ断崖は、深さ20kmもある恐怖の谷。アメリカのグランドキャニオンの10倍の深さ、というと少し現実味が湧いてきます。その深淵を覗きこんだら、どんなにか恐ろしい体験なのでしょうーーと思いきや。

直径470kmのちっぽけな衛星ミランダは、重力もちっぽけなので、飛び降りてもたぶん無傷

NASAによれば、ヴェローナ断崖のてっぺんから飛び降りて下に着くまで12分もかかるそうなので、暇つぶしに本でも持っていったほうがいいかも。

真面目な話、この断崖の存在は小さい星なれど衛星ミランダに地殻変動があることを物語っています。

ラビオリみたいな衛星アトラス

土星の第15衛星、アトラス
Image: NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute via Gizmodo US

土星はおよそ60個の衛星を従えており、いくつかは土星の環の中か、すぐ近くに位置しています。そのうちの5つは出来損ないのパスタみたいな形をしており、赤道付近がやけにせり出しています。

デコボコしているものあり、スカートを履いているようなものもあり。すべて直径20kmにも満たないミニサイズです。おいしそう?

(A)アトラス、(B)ダフニス、(C)パン、(D)パンドラ。
Image: NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute/B. J. Buratti et al., 2019/Science via Gizmodo US

最近の研究により、過去に巨大な衝撃が加わって土星の環ができたと同時に、これらのヘンテコな衛星も誕生したと考えられています。

「これらの衛星は衝撃の名残りとして残った破片と考えられています」とNASAのジェット推進研究所およびにカリフォルニア工科大学に所属しているBonnie Burattiさんは米Gizmodoに話しています

「赤道付近のスカートのような部分は、土星の環を構成している粒子を蓄積しながら増大しています。軌道上の粒子をどんどんかすめ取って育っていく様子は、ひょっとしたら小さな粒子が集まってやがて惑星を形成していくプロセスと同じなのかもしれません」。

小惑星アロコス

彩色されたアロコスの姿。
Image: NASA/New Horizons via Gizmodo US

アメリカの無人探査機ニュー・ホライズンズが2015年に冥王星のフライバイを行なってから向かった先は、エッジワース・カイパーベルト内に存在しているミステリアスな「2014 MU69」と呼ばれる小惑星でした。

地球から65億キロメートルも離れている2014 MU69は、探査機が訪れたもっとも遠い天体です。

ニュー・ホライズンズが遭遇するであろう光景はさぞ珍しいだろうと期待されていましたが、実際2019年元旦に送られてきた画像はその期待を上回るものでした。

後に「アロコス」と名付けられたこの小惑星は、不格好な雪だるまのような姿をしています。ふたつの天体が合わさってできたもので、天文学者はこれを「接触連星」と呼びます。不思議とともに、ちょっと不気味。

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星のイムホテップ地域。異なる形状が混在している
Image: ESA/Rosetta/MPS for OSIRIS Team MPS/UPD/LAM/IAA/SSO/INTA/UPM/DASP/IDA via Gizmodo US

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は、どう表現したらいいのかわからないぐらい複雑な形をしています。

そのいびつな彗星にも、およそ0.8平方キロメートルの平らな部分があることをESAの探査機ロゼッタが確認しました。「イムホテップ」と名付けられたこのエリアには、驚くほど多彩な地形がギッシリと詰まっており、彗星がどうやってきたのかを知る上で重要な手がかりとなりそう。

中央のDエリアのようにさらさらした砂でできた地形もあれば、Eエリアのように岩がゴロゴロしている地形も。イムホテップ内だけでも2,207個の岩石が確認されているそうで、色が明るい部分には氷も存在しているそうです。また、Fのような不思議な丸い地形はイムホテップ以外の場所では見られないそうです。

小さな彗星ひとつを取ってみても、驚きと発見が盛りだくさんなんですね。

木星の衛星イオと、ロキ火山

ボイジャー1号が1979年に噴火したロキの様子を捉えた画像
Image: NASA/JPL/USGS via Gizmodo US

木星の第1衛星、イオ。天文科学者を魅了し続けるぶっとんだ天体です。

これまで太陽系で確認されてきた天体の中では随一の火山活動を誇り、地表にはドロドロに熱されたケイ酸塩の湖が広がっています。これだけ活発なのは、木星と、木星の衛星エウロパとガニメデが三つ巴に及ぼす重力のせいだと考えられています。

イオには400以上の火山がありますが、特筆すべきはロキ。直径200キロメートルあり、そのエネルギーはイオが発する熱量の15%に相当します。ロキは周期火山であることも知られています。2013年以降、だいたい475日おきに噴火を繰り返しており、一回の噴火は160日続きます。

火星のコロリョフクレーター

マーズ・エクスプレスが捉えたコロリョフクレーター
Image: ESA/DLR/FU Berlin, CC BY-SA 3.0 IGO via Gizmodo US

こちらが太陽系最大のスケートリンク、火星のコロリョフクレーターでございます。

直径は82キロメートル。火星の北部平原に位置しています。クレーター内部は永久に凍っているそうで…え、なにこの壮大なスケール。太陽系最大のアイスホッケー試合、誰かやりません?

タイタンの巨大な巨大な砂丘

タイタンの地表にいくつも連なる砂丘
Image: NASA/Cassini via Gizmodo US

既出のタイタン。赤道付近に広がる巨大な砂漠地帯はシャングリラと呼ばれています。

1,000万平方キロメートルもの広域に連なる砂丘の海。中には高さ100メートルにも及ぶ巨大な砂丘もあるそうです。地球の砂丘が主にケイ砂で構成されているのに対し、タイタンの砂丘は太陽が放出する宇宙線によって分解された有機物質でできている、と最近の研究が明かしています。

金星の激しすぎる大気

麗しき金星。1974年にマリナー10号が撮影した画像を改めて処理したもの
Image: NASA/JPL-Caltech via Gizmodo US

地球からは希望のように光り輝く金星ですが、実はとてつもなく過酷な環境です。

大気の上層部は大荒れで、雲が時速360キロメートルで東から西へ飛ばされています(地球とは逆)。金星全体を台風並みの豪風が常に吹き荒れ、地表に近い雲は鉛を溶かすほど熱された硫酸の雨を降らせます。

さらに恐ろしいことに、金星では電気の風が吹き荒れ、大気中の水分をすべて奪い去ったことが最近明らかになりました。

そんな地獄のような実態とはうらはらに、人類はこの星に愛と美を司る女神の名前を授けました。そう、女神といえば、JAXAが金星の大気に不思議な模様を確認しており、惑星全体にリボンをキュッと結びつけたようなかたちをしています。このリボン、全長約1万キロメートルも続いていて、どんなに凄烈な嵐が吹き荒れようとびくともしないのだとか。

土星の北極は六角形

土星の北極にある六角形
Image: NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute via Gizmodo US

「土星」と聞いて思い浮かべるのは円。土星の幾重にも重なる円盤、褐色や黄金にとりまくリング状の模様…。

ところが、土星の北極と南極は六角形なんです。なぜこんなにも不自然に見えてしまうのでしょうか。

画像に見える北極の上空にかかる六角形の嵐は、直径約3万キロメートル。最近の研究により、高緯度のジェット気流が六角形の形成に関わっているのだとか。なんとも不可解な、それでいて美しい惑星です。

マリネリス峡谷

「火星のグランドキャニオン」とも呼ばれるマリネリス峡谷
Image: NASA via Gizmodo US

かつては火星人が造った運河と見まちがえられたこともありました。

火星のマリネリス峡谷は全長600キロメートルにも及び、一番深い場所では谷底まで8キロメートルもあります。アメリカのグランドキャニオンはこれよりちょっと長いものの、深さはせいぜい1.8キロメートルしかありません。火星の直径は地球の半分ちょっとしかありませんから、星全体でみたらとてつもなく大きいことがわかります。

残念ながら火星文明の名残りではなかったものの、もし人類が火星に移住できたとしたら、人気観光スポットになること間違いなしです。

地球

Image: Gizmodo US

こうして太陽系の天体をひととおり巡ってくると、あらためて我らが地球の美しさに目を奪われます。

地球がハビタブルゾーン内に位置していなかったら、地球の磁場が太陽風から守ってくれていなかったら、地球がこんなにたくさんの水と酸素に恵まれていなかったら、地球に地殻変動がなかったら、地球に四季がなかったら…。

言うまでもなく、生命は誕生していなかったはず。

太陽系をどんなに探したって、こんなに素晴らしい星はまたとありません。

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