そんななか、2018年以降のiPad ProとドッキングできるMagic Keyboardが発表されたことは、個人的に驚きでした。筆者はiPad Proをほぼメインマシンのように活用しており、それが最新Macと同等のキーボードで利用できるようになるからです。
正確に言えば、今までもiPadでMagic Keyboardを使うことはできました。前述のBluetooth接続のMagic Keyboardを利用すれば良いのです。しかしそのためには別途キーボードとスタンドを持ち運ばなければならず、損なわれるモバイル性を考慮して、いくぶんタイピングの速度や精度が落ちてもSmart Keyboard Folioを装着して使っていたのでした。
iPad Pro用Magic Keyboardの登場は、非常に大きな反響を呼びました。人々は依然としてコンピュータのインターフェイスとしてキーボードを活用しており、より本格的なキーボードの到来で、iPadに対する認識が変化したからではないでしょうか。
タイピングは申し分なし
さて今回発売されたiPad Pro用のMagic Keyboardは、MacBookシリーズに搭載されているキーと同じものが採用されています。1mmのキーストローク、独自設計のラバードーム、そして長年にわたって信頼性を獲得してきたシザー構造は、MacBook Pro 16インチ、MacBook Airで体験してきたものと全く同じだとされています。ただ、キーそのものは同じでも実装されるボディによって打鍵感は異なります。ボディの剛性、質量、安定性、そして机の面からキートップまでの高さなどで、打ち心地や音は変化します。
iPad Pro用Magic Keyboardは、キーボード直下に何もなく、机の面からおよそ5mmの高さにキートップがあります。これは、Bluetooth版も含むMagic Keyboardの中で最も机の面に近く、手首を持ち上げずにタイピングができる点で楽であると言えます。
個人的にはメカニズムよりも、ラバードームが効いていると思いました。跳ね返る力を生かして指を弾ませながらタイピングが可能なため、指の筋力が全てだったSmart Keyboard Folioに比べ、リズムを自然に作ることができるのです。
また、ラバードームのもこもことした音は、出先でも打鍵音をそこまで気にしなくて良さそうです。ただし、MacBookシリーズとは異なり、エンターキーからカシャと音が出る点には注意。文章を確定する時に違う音が出るため、仕事場では楽しいのですが。
そのほかSmart Keyboard Folioになかったパームレストが用意されているため、膝の上に乗せた場合でも、手首で支えながら安定したタイピングが実現できます。注意点としては、ヒンジ部分が重たくなっているため、パームレストから手首を離すと奥へ倒れてしまうことでしょうか。そのためMagic Keyboardは基本的にデスク、もしくはラップトップでもタイピングだけの短作業に向いている、というかそれ以外の現場で活用することは難しいと思いました。
膝の上に置いてキーボードでメモを取りながらカメラで写真を撮る、こういった使い方を要求されるイベント取材では、引き続き、膝の上で自律できるSmart Keyboard Folioを使う必要がありそうです。
11インチか、12.9インチか
iPad Pro用Magic Keyboardを購入する人の多くは、すでに2018年もしくは2020年モデルのiPad Proを持っている方だろうと思います。ようするに自分が持っているiPadに装着できるキーボードを買う、という流れになると思います。基本的には、iPadでやりたいことに合わせて本体を選ぶのが妥当だと思いますが、中にはMagic Keyboardが出たからiPad Proを手に入れたいと考えている人もいるかもしれません。その際に、11インチと12.9インチ、どちらがいいんだろう? と悩むでしょう。
そういった場合に考えてほしいのが、サイズと重さです。12.9インチモデルは、13インチのMacBook Airよりは小さいように思うかもしれませんが、幅はほぼ同じ。Smart Keyboard Folio・Magic Keyboardを装着するとはみ出ます。もちろんその分画面が大きく、コンテンツの編集作業には便利なのですが。
さらに12.9インチモデルにMagic Keyboardを装着すると重さは約1.35kgになり、MacBook Airの1.29kgより重たくなります。11インチモデルでは合わせて約1.1kgとなるため、サイズ・重さで考えるなら持ち運びには有利と言えるでしょう。
ただ、11インチのMagic Keyboardの場合、アルファベットと数字キーの幅は12.9インチモデルと同じで、2mmのキーピッチが確保されていますが、右側のタブやControlキー、左側の記号キー、リターンキーなどは横幅が少し狭く、11インチの幅に押し込まれています。
2018年以前は9.7インチ、10.5インチのiPadとSmart Keyboardをそれぞれ使っていましたが、その時の経験からすると、細い記号キーが特段打ちにくいわけでもなく、慣れの問題でした。サイズと重さを考慮するなら11インチモデルの方が有利だし、打ちやすいキーボードを持ち運べる意味でも魅力的かもしれません。
トラックパッドは慣れとの戦い
iPadOS 13.4で標準サポートされたマウス / トラックバッド。Bluetooth接続のマウスやトラックパッドを繋ぐことができますが、キーボードもマウスもそれぞれがBluetoothだと、仕事を始める際の接続作業が面倒になってきます。その点、Magic KeyboardならiPad Proをドッキングさせれば、マウスとキーボードという、パソコンで当たり前となっている2大インターフェイスがすぐに使えるようになります。物理接続手段であるSmart Connectorのメリットですね。
Magic Keyboardのトラックパッドは、12.9インチと11インチで同じ横幅ですが、縦の長さは12.9インチの方が長くなっています。3本指のジェスチャーにも反応がよく、どの場所でもしっかりと押し込め、反応も非常に良いと思いました。
ただし、じゃあこれを使うかと聞かれると、なかなか難しいところがあります。筆者は2016年からiPad Pro+Smart Keyboardで過ごしており、キーボードと指での操作を4年間経験しています。そのため、ついついタイピングしながら指で画面を操作する癖が出てしまい、意識しなければトラックパッドを使うことが難しくなってしまいました。
ある種、Appleがマウスもしくはそれに類するポインティングデバイスから、指での直感的な操作へとシフトしようとしており、4年という年月はそのシフトに十分だった、ということでしょう。
そして、Magic Keyboardを使っていても、Apple Pencilは利用でき、こちらも細いペン先でのポイント操作や描画に対応します。スタンド部分は若干ぐらつきますが、手を添えてしまえば揺れもなく、正確なペン操作ができます。そんなわけで個人的にトラックパッドの出る幕はないと思いました。その点からもトラックパッド非搭載で軽いSmart Keyboard Folioとの併用、そんな結論に至ったわけです。
正直、価格はもう少し安くてもいい
Magic Keyboardは、11インチ用で31800円、12.9インチ用で37800円(価格はいずれも税別)。これをキーボードのオプションと見れば、筆者が愛用しているPFUのHHKB Professional HYBRID Type-Sの3万円よりも高い価格設定です。じゃあMagic Keyboardそのものに、キーボードの打鍵感として、HHKBほどのプレミアム感があるか? と問われれば、食い気味に「ない」と答えるでしょう。あくまで「標準的な、使いやすいキーボード」であり、今までiPadにはなかったからこの製品に価値があるのです。
しかし別の側面で魅力的と言えるのは実のところデザイン。iPadをiMacのようなスタイルで宙に浮かせるデザインは、今まで落ち着かなかったデスクにおけるiPad Proの「居場所」を確定させます。そのうえ、若干レトロな雰囲気を漂わせる立ち姿もユニークです。
さらに、Smart Keyboard Folioではできなかった「90度」での自立は、iPad Proでの写真、動画撮影時に威力を発揮します。今まで、どうしても机の面に倒れ気味でしか固定できなかったので、ビデオ撮影用のスタンドにはならなかったのです。
例えば、iPad Proで固定カメラとして撮影し、iPhoneで動きながらクローズアップを撮影するなど、インタビュー収録のカメラの1つとしても活用できるでしょう。iPhoneのビデオファイルもiCloudで同期したうえで、LumaFusionを用いてキーボードショートカットを活用した編集を行う、そんなワークフローも良いかもしれません。
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