年明けのCESで存在が明らかにされ、そして1月14日に詳細が語られたRadeon RX 5600 XTであるが、やっと発売日を迎える事となった。これに先立ち、評価機が手元に届いているので、その性能をご紹介したいと思う。
◆評価環境
今回手元に届いたのは、このスライドで右から2枚目の、SAPPHIREの製品である(Photo01~06)。ミドルクラスの製品にしてはやけに放熱周りが厳重という印象を受けるが、テストの結果を先取りして言えば、これだけの放熱機構が必要な製品であるという事だ。
Photo03: 裏面もフルカバード。カバーが基板より一回り大きい事が判る。重量は840g(実測値)。
Photo04: 出力はDP×3、HDMI×1。背の高さ(ヒートパイプの突き出しを含んで120mm)がこのアングルだとよくわかる。
さてこのRadeon RX 5600 XTであるが、実は3種類のBIOSが提供されている。Photo07が到着時に入っていたBIOS(113-4E4111U-X49)、Photo08が後追いで提供されたSilent BIOS(113-4E4111U-O4C)、Photo09がPerformance BIOS(113-4E4441U-X4B)である。
Photo07: 違うのはPCIe 1.1程度で、あとは見かけ上Photo08と同じ
Photo08: AMDによればGame Clock 1615MHz、TGP 135Wとされている。それはともかく、これでBase Clockが1560MHzと判明した形。
スペックなどを見る限りではPhoto07とPhoto08はほぼ同じに見えるのだが、よく見ると元々のX49ではPCI Expressがx16ながらPCIe 1.1相当での動作になっている。Silent BIOSの方はちゃんとPCIe 4.0での接続で、これが恐らく通常出荷用のものと思われる。一方のPerformance BIOSの方だが、こちらは動作周波数を引き上げるのみならず、メモリクロックも14Gbpsに引き上げているという代物である。先の記事にも書いたが、OEMがGDDR6 14Gbpsチップを実装するのは許されない筈で、なのでこれはGDDR6 12Gbpsを14Gbpsにオーバークロック動作させているという事になるが、それを許すくらいなら最初から14Gbps品の実装を許せよという気もしなくはない。これに関してはAMDの正式見解を問い合わせ中だが、現時点では返答が無い。とりあえずテストは、Silent BIOS(つまりPhoto08)とPerformance BIOS(こちらはPhoto09)の両方でテストを行っている。
さて、そのRadeon RX 5600 XTであるが、"Ultimate 1080p Gaming"という位置づけで、競合はGeForce GTX 1660 Super/1660 Tiという説明がなされ、ベンチマーク結果もこれを意識したものであった。そんな訳で今回は比較対象として、こちらの記事で利用したINNO3DのGeForce GTX 1660 Super、それと以前こちらのレビューをした時にGeForce GTX 1660 Tiとして利用したASUSのROG-STRIX-GTX1660TI-O6G-GAMINGを比較対象用に用意した。
その他のベンチマーク環境は表1に示す通りである。昨年まではCore i9-9900Kをベースにした評価環境を使ってきたが、さすがにPCI Express Gen4が動かないとか、DDR4-3200が定格で動かないといったプラットフォームはそろそろ更新の時期であり、今回からRyzen 7 3800Xをベースにした環境に切り替えている。
| ■表1 | ||
| CPU | Ryzen 7 3800X | |
|---|---|---|
| M/B | ASUS TUF GAMING X570-PLUS BIOS 1405 |
|
| Memory | CFD W4U3200CM-16G(DDR4-3200 CL22 16GB×2) | |
| Video | INNO3D GeForce GTX 1660 Super ASUS ROG-STRIX-GTX1660TI-O6G-GAMING (GeForce Driver 441.87 WHQL DCH) |
SAPPHIRE PULSE RADEON RX 5600 XT
(Adrenalin Edition 20.1.1 Jan13-RC5) |
| Storage | Intel SSD 660p 512GB(M.2/PCIe 3.0 x4) (Boot) WD WD20EARS 2TB(SATA 3.0)(Data) |
|
| OS | Windows 10 Pro 日本語版 Version 1909 Build 18363.592 | |
なおグラフ中の表記は以下のようになる。
1660 Super:INNO3D GeForce GTX 1660 Super
1660 Ti:ROG-STRIX-GTX1660TI-O6G-GAMING
5600 XT:SAPPHIRE PULSE RADEON RX 5600 XT(Silent BIOS利用)
5600 XT OC:SAPPHIRE PULSE RADEON RX 5600 XT(Performance BIOS利用)
また、原稿中の解像度の表記は次の通りだ。
2K:1920×1080pixel(Full HD)
2.5K:2560×1440pixel(WQHD)
3K:3200×1800pixel
4K:3840×2160pixel
◆3DMark v2.11.6857(グラフ1~6)
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/3dmark
細かくUpdateされ続けている3DMarkであるが、最新の2.11.6846では遂にIce StormとCloud GateがUpdate終了となり、画面からも消えた("Show unsupported tests"というチェックボックスにチェックを入れると出現する)が、どうもこのバージョンのUpdateはそれだけらしい。そんな訳で今回は、IceStormとCloudGateの結果を紹介する最後の機会になってしまった(筆者はコマンドラインから起動するので、IceStormもCloudGateも普通に実施できる)。
さてそんな訳でまずグラフ1と2がOverallであるが、定格のRadeon RX 5600 XTはGeForce GTX 1660 Tiと比較して「ちょっと上」といったスコア。そしてPerformance BIOSを使うOC版はここから更に伸びる感じである。グラフ2のFireStrike(DX11)、それとTimeSpy(DX12)が一番シナリオ的に近いと思うが、
GeForce GTX 1660 Super < GeForce GTX 1660 Ti < Radeon RX 5600 XT < Radeon RX 5600 XT(OC)
という関係が明白で、しかもそれぞれの性能差が大体均一になっている感じだ。
これは主にGraphics Test(グラフ3~4)の性能差がそのまま、というのはもうグラフからも明白である。個人的には、これまでだとグラフ3のIceStorm UnlimitedとかではNVIDIAの方が有利なケースが少なくなかったが、今回はちゃんとNVIDIAを打ち破る性能を出しているところが非常に興味深い。
Physics/CPU Test(グラフ5)の結果はほぼ同等で、これは逆に同等でないとおかしな話なので、そういう意味では変なことはしてないのが確認できた形になる。ちょっと面白いのがCombined Test(グラフ6)の結果。SkyDiverのみ、NVIDIAの方がやや有利な結果になっていることだろうか。ただFireStrikeではAMD有利という傾向になっている。
全体としてみれば、確かにRadeon RX 5600 XTの基本性能がGeForce GTX 1660 2製品と十分拮抗できている事を示すものになったと思う(もっともゲームではまた別の傾向になる事も珍しくないが)。
◆SuperPosition v1.1(グラフ7~9)
Unigine
https://benchmark.unigine.com/superposition
ちょっと悩んだのだが、これに関しては以前同様に
DirectX、Shader Quality/Texture Quality Medium、Depth of Field/Motion Blur有効
の設定で実施している。
さて、フレームレートは御覧の通り。明白に性能差が全ての解像度で示されているとして良いと思う。Radeon RX 5600 XTはOCしなくても2Kには十分な性能だし、2.5Kですら60fpsを確保できている訳で、確かに"Ultimate 1080p Gaming"に恥じない性能ではあると思う。
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January 21, 2020 at 09:00PM
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Radeon RX 5600 XT徹底レビュー - GeForce GTX 1660 Ti/Superと最速比較ベンチ (1) 3DMark / Unigine SuperPosition - マイナビニュース
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