電気自動車(EV)や太陽光パネルなどの中国の過剰生産を巡り、米欧各国が再び厳しい対応に出始めた。バイデン米大統領が安価な中国製の流入を阻止する対策に乗り出し、欧州連合(EU)も対抗措置を視野に入れる。米国は11月に大統領選を控え、候補者が労働者保護を競う。欧州でも中国への警戒感が増大。自国・地域の産業保護が対中姿勢を硬化させる構図が鮮明だ。
EV、米優先課題に直結
バイデン氏は4月上旬、イエレン財務長官を中国に派遣した。イエレン氏は何立峰(かりつほう)副首相との会談で、中国によるEVの過剰生産問題などをテーマにマクロ経済に関する対話を実施することで合意。李強首相との会談では、中国の過剰生産が米国経済に悪影響を及ぼすとの懸念を伝達した。
バイデン氏がEVを重視するのは、最優先課題に掲げる気候変動対策と雇用創出の両方に直結しているからだ。中国の安価なEVが流入すれば米企業の売り上げが落ち込む。大統領選で雇用や景気は集票に大きな影響を与える。返り咲きを目指すトランプ前大統領がバイデン氏を〝親中〟と批判しており、弱腰に映ることを避ける狙いも見え隠れする。
バイデン氏は4月17日、東部ペンシルベニア州にある全米鉄鋼労働組合(USW)本部で演説し、中国製の鉄鋼とアルミニウムの制裁関税を3倍に引き上げることを検討すると表明。中国政府による鉄鋼企業への多額の補助金を問題視し、「彼らは不正行為をしている」と非難するなど、中国との摩擦も辞さない構えをアピールした。
欧州は「補助金」調査
EUも中国製の安いEVや太陽光パネルなどの余剰製品が大量に輸出され域内企業に打撃を与えると懸念を強めている。
EUのフォンデアライエン欧州委員長は今月6日、中国の習近平国家主席とマクロン仏大統領との3者会談で、習氏に対しEVなど多額の補助金を受けた中国製品が「欧州にあふれている」と指摘。「EU(の市場)は大量の中国製工業製品を吸収できない」と強調し、過剰生産に対処する措置を講じるよう迫った。
EUは、中国が補助金で価格の安いEVや太陽光パネルなどの輸出を促したとみて、調査にも乗り出している。中国による不当な補助金支給が確認された場合、追加課税などに踏み切る方針だ。
EUは日本とも連携して、中国の不公正貿易に対抗する構えだ。パリで今月上旬に開催した「日・EUハイレベル経済対話」では、中国を念頭に供給網の強靱(きょうじん)化などの経済安全保障を討議した。
しかし、欧州の太陽光発電の普及には安価な中国製が必要との見方もある。欧米メディアによると、EUは太陽光パネルの輸入の8割以上を中国に依存。欧州のエネルギー問題の専門家は中国製の輸入規制は欧州の太陽光発電の導入目標の実現を阻害するとみている。
また、EUが追加課税などを実施すれば中国が報復関税を行うリスクも懸念される。自動車産業などで対中依存が強いドイツのショルツ首相は、EUによる中国企業への追加関税には否定的な姿勢を示している。(坂本一之、板東和正)
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