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離れて暮らす親を見守るには、スマートフォンと安価なIT機器を使ったスマートホーム化が肝要です。私が提案する「スマホ見守り」は、父の死後、1人暮らしとなった年老いた母親の安否確認と不便さ解消のため、試行錯誤しながら組み立てたものです。といっても特別なものでは全くありません。ITで生活を快適にする「スマートホーム」のための製品を、高齢者の見守りに転用しただけです。
スマホ見守りについてまとめた書籍『親が心配な人の見守りテック スマホでできるスマートホーム化の極意』(日経BP)からの抜粋で、今すぐ手軽にできるスマートホーム化のノウハウを解説します。
スマートホーム化に欠かせないのはまずインターネット環境。そしてWi-Fiが利用できる環境です。
既に実家にインターネット環境があるなら何も問題ありません。有線LANのみでWi-Fiがない場合には、契約しているプロバイダーの公式サイトを確認してみてください。ルーターにプラスして使うWi-Fiアクセスポイントという機器を貸与してくれることもありますし、一体型のWi-Fiルーターと交換できるかもしれません。
そうしたオプションサービスがない場合には、Wi-Fiルーターだけ買い足してもいいでしょう。安価なものなら3000円くらいで、設定もさほど難しくありません。
「実家にはインターネット環境は何もない」という方も少なくないでしょう。
高齢の親がWebサイトを見たりメールしたりするわけでもないのにもったいないと思うかもしれませんが、いまや「インターネット=Webサイト閲覧やメール送受信」ではありません。スマートホームの運用も、インターネットの大事な使い方で、そのためだけに導入する価値があると思います。
インターネット環境を用意し、電話だけに頼らない見守り体制をつくることで、親が寝たきりになってしまう事態を防げるかもしれませんし、ハプニング連発で頻繁に実家に飛んで帰らなくてはいけなくなる状況を変えられる可能性もあります。そう考えれば、毎月数千円のコストは決して高くはない──私自身はそう実感しました。
光回線にこだわる必要はない
インターネット回線の導入にはいくつかの選択肢があります。
- 固定インターネット回線サービス(光回線・ケーブルテレビなど)
- モバイルWi-Fiサービス(ワイモバイル、UQ WiMAXなど)
- 格安SIMサービス+SIMフリーWi-Fiルーター
光回線であればスピードも速く安定しています。また光回線を利用した多彩な専門チャンネルを持つテレビサービスを楽しむこともできます。「最近テレビをつけても面白くない」とぼやいている親に喜ばれるかもしれません。
課題は開通までに時間がかかることと初期費用(一戸建てで2万円弱など)。一戸建てか集合住宅(マンションなど)か、地域などによっても異なりますが、数週間から1カ月近くかかり、また工事立ち会いなどもあり、実家が遠い方にとっては少々ハードルが高くなります。
実はスマートホームに使うだけであれば、それほど高速な回線は必要ありません。私の実家ではもともとADSL(非対称デジタル加入者線)サービスを使っていました。これにWi-Fi経由でネットワークカメラをつないでライブ映像を見たり通話をしたりすると少々タイムラグが生じていましたが、慣れれば使えないレベルではありませんでした。
今は携帯電話の回線を使った通信でもこれよりもずっと高速です。スマートホームの構築目的にインターネット回線を入れるのであれば、手軽に導入できるモバイルWi-Fiサービスや、格安SIMサービスを利用してSIMフリーのモバイルWi-Fiルーターに挿入して使うのも賢い選択です。
初期費用はそれほどかかりませんし、新規契約後、モバイルWi-FiルーターやSIMカードをいったん自分宛てに送ってもらえば、帰省前にネットワークカメラやスマートホーム化各種製品のネットワーク設定・初期設定も行い、動作確認まで済ませておくことができます。
光回線など固定インターネット回線は、初期費用もあるので一定期間使う前提でないともったいない気がしてしまいますが、モバイルWi-Fiサービスや格安SIMであれば、親が施設に入るなどして役目が終わったら解約すればいいですし、不要になったWi-Fiルーターは自分で使うか、メルカリやネットオークションサイトで売ることもできます。
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