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技術、魅力次代に継承 碓氷製糸(安中市) 安藤俊幸社長73 - 読売新聞オンライン

 純国産生糸には根強い人気があるが、生産量や担い手は減っている。生糸生産で国内最大の「碓氷製糸」(安中市)を5月から率いる安藤俊幸社長に、伝統を絶やさないための方策を聞いた。

 ――蚕糸業の現状は。

 「かつては主要な輸出産業だったが、1970年代以降、安価な中国産に押された。国内に300以上あった製糸工場は、碓氷製糸と『松岡』(山形県)など数社のみとなり、純国産生糸の7割を碓氷製糸で生産している。養蚕農家の減少は、技術の継承や経営安定化と同様に重要な問題だ」

 ――純国産生糸の特徴は。

 「産地など生産履歴がしっかりとしていて、生産者の顔が見える『安心』があることだろう。国内で流通する生糸のうち、純国産は0・1%ほどだが、碓氷製糸は、こだわりを持つ京都や桐生などの織物業者など約70社と取引している」

 ――担い手不足の解消には何が必要か。

 「蚕糸業も、コロナ禍の影響を非常に大きく受けた。受注は半分程度に減り、戻りきっていない。養蚕農家も不安を抱えているだろう。碓氷製糸は繭を運んでくる農家が集まる場所でもある。意見交換や技術交流の場を設けていきたい」

 「蚕糸業は高齢化が進み、技術の伝承には時間がかかる。県は農家の育成事業を実施しており、若い世代に養蚕の面白さを知ってもらいたい。福祉施設の協力を得て、障害者にも担い手になってもらう『農福連携』も視野に入れていきたい」

 ――商品開発は。

 「生糸生産だけでなく、取引先と協力して生糸を使った生地や化粧品を開発してきた。肌に優しく、保湿性が高い生糸の性質を実感できるようなものを、今後も提供していきたい」

 「食品の開発も進めている。生糸を微粉末にした、甘みのある『シルクパウダー』を練り込んだアメを6月に発売し、売れ行きは順調だ。シルクパウダーを使ったうどんの販売も見込んでいる」

 ――群馬の養蚕の役割は。

 「世界遺産の富岡製糸場とほぼ同型の1975年頃の自動繰糸機が、碓氷製糸の工場で稼働している。昨年から県と共同で、工場内のツアー見学を開催している。若い世代が来やすいように、夏休みに合わせて6~8月に実施し、毎回、ほぼ満員だ。繊維の勉強をしている学生もやって来る。『歴史』を背負っており、守っていかねばならない」

 「碓氷製糸は純国産生糸生産の『最後の とりで 』だろう。技術を次世代につなぐことは我々の使命だ」

(聞き手・古賀章太郎)

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