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外国人技能実習 健全な制度へ改革が不可避だ - 読売新聞オンライン

 日本で働く外国人技能実習生の劣悪な労働環境は長年、問題となってきた。人手不足を補う「安価な労働力」とみなす現状は放置できない。早急に改める必要がある。

 政府が今秋にも、技能実習制度の見直しに向け、有識者会議を設置することを決めた。

 技能実習生は、日本で就労できる在留資格の一つで、昨年末時点で約28万人が在留している。

 日本で身につけた技能を持ち帰り、母国で生かしてもらうという国際貢献の制度として、1993年に始まった。だが実態は、農業や介護など日本人の働き手が集まりにくい業界に、低賃金で労働力を供給する手段となってきた。

 目的と実態が 乖離かいり しており、制度の見直しは当然だろう。

 厚生労働省によると、残業代の未払いや長時間労働などの法令違反が昨年、約6500件に上った。出入国在留管理庁の調べでも、暴行や監禁などの深刻な人権侵害が確認されている。

 実習生は母国の送り出し機関に多額の手数料を支払い、借金を背負って来日するケースが多い。実習先が変更できない仕組みのため逃げ出して失踪する人が絶えず、昨年は約7000人に上った。

 これら不法滞在となった元実習生の窃盗事件も多発している。

 日本は少子高齢化により、今後も労働力不足が続く見通しだ。意欲のある外国人を円滑に受け入れ、安定して働けるような制度を整えなければならない。

 本来、国の許可を受けた監理団体が、実習の状況をチェックしなければならないはずだが、十分に機能していない。岡山市では、暴行を受けたというベトナム人実習生の訴えに、適切に対応しなかった団体が許可を取り消された。

 政府は、ずさんな監理団体への監督を強めるなど、対策に取り組む必要がある。トラブルが続く団体を排除するための罰則強化なども検討課題となろう。

 実習生が、2019年に新設された在留資格「特定技能」に移行しやすくすることも大切だ。技術や知識、日本語を習得する支援も充実させてほしい。

 「特定技能」では、受け入れ企業が外国人を正規に雇い、日本人と同等の賃金を支払う。技能実習についても、賃金や労働時間など処遇の改善を進めるべきだ。

 企業が外国人を低賃金で働かせるようなやり方は、国際的に通用しない。こんなことを続けていては、世界から批判を浴び、日本の産業は立ちゆかなくなる。

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