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[投稿見聞録]高額補聴器にため息…安価な集音器 性能向上 - 読売新聞オンライン

 補聴器専門店で「両耳で53万円」と言われ、がくぜんとしたという76歳女性の投書(5月13日)に、共感の声が寄せられた。加齢性難聴が増える中、補聴器より安価なイヤホン型集音器の性能が向上し、急速に普及し始めている。聞く力を助ける機器の今を追った。

 集音器と補聴器の違いは、音の処理方法にある。集音器は雑音も含め周囲の音を大きくするため、人の声など特定の音が聞きとりにくいことがある。補聴器は音を細かく分析するので、調整で特定の音が聞き取りやすくなるのが利点だ。

 だが近年、特定の音を聞き取りやすく出来るイヤホン型集音器が登場。電機メーカー大手「ソニー」は音響機器で培った技術を生かした集音器を発売している。首かけ式だがスタイリッシュなデザインだ。国内補聴器メーカー最大手「リオン」の太田昌孝事業戦略室長は、「イヤホン型集音器は性能面で補聴器と遜色ない製品もある」と語る。

 補聴器のカタログには、両耳で20万~60万円の商品が並ぶ。一方、イヤホン型集音器は両耳で10万円以下が主流だ。価格差を生み出しているのは、公的助成の有無と補聴器の専門家による技術的サポート費用だ。

 補聴器は医薬品医療機器法に定められた医療機器だが、健康保険は適用されない。ただし、高度の難聴以上の人は、障害者総合支援法の基準額内ならば、公費助成により原則1割負担で購入可能だ。高価格でも一定数は確実に売れるため、価格は下がりにくい。

 日本補聴器技能者協会の藤村四耕副理事長は、「購入後に数か月かけ、専門家がサポートし、聞こえ方を調整することが大事。そのぶん価格は高くなる」と話す。怠ると、高性能でも宝の持ち腐れとなりかねない。

 補聴器に比べ安価なイヤホン型集音器の開発が進む背景には、スマートフォンの普及による高性能のワイヤレスイヤホンの需要増がある。無線通信で音を受信するワイヤレスイヤホンの集積回路(IC)は集音器でも利用可能だ。IC市場拡大で生産コストが下がったことが、低価格化の要因となっている。

 最新のイヤホン型集音器は、スマホアプリを活用し、自分で音の調整を行うことで、専門家のサポートはいらない。もちろん欠点もある。スマホの聴力テストは、耳鼻科の診断や補聴器専門店の検査に比べ不正確という指摘も根強い。デジタル機器に不慣れな人には操作が難しいのも現実だ。

 イヤホン型集音器=写真=を販売する「freecle(フリークル)」の久保聡介・代表取締役は、「スマホでの聴力テストの精度を上げたい」と話す。

 補聴器かイヤホン型集音器か――。自分の聴力の状態はどの程度か、スマホの操作を問題なく出来るか、自治体が補聴器への独自助成を行っていないか、といったことを確認し、どちらを選ぶかを判断してみてはどうか。(世論調査部 並木大)

 日本補聴器工業会が2018年に実施した調査では、総人口に対する補聴器所有率は推計1・6%で、人数に換算すると約200万人だ。だが、65歳以上の難聴者は推計で約1500万人という研究もあり、補聴器の普及は進んでいない。

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