携帯電話の値下げ競争に号砲が鳴った。主導するのはNTTドコモ。他社を圧倒する低価格プランを打ち出せた背景には、年内にNTTの完全子会社となることがある。政権の強い意向を受けた「官製値下げ」が加速している。
ドコモがイメチェン?
拡大する新料金プラン「ahamo」を発表するNTTドコモの井伊基之社長(右)=2020年12月3日午後2時9分、東京都渋谷区、北村玲奈撮影
「(新プランの)アハモは白いTシャツのような感覚で選んでいただきたい。デジタルネイティブのみなさまが個人として使いやすいシンプルなプランだ」
3日に開かれた新プランの発表会で、大手3社の中では「硬い」と評されるドコモらしからぬ異例の演出があった。アハモのターゲットはスマホやSNSに触れて育ってきた20代の「デジタルネイティブ」。まさにその世代で、アハモを担当した入社3年目と5年目の男女の若手社員2人が、プレゼンテーションをしたのだった。
NTT本体から送り込まれた社長の井伊基之氏は、発表会2日前の1日に就任し、新体制に移行したばかり。12月末にはNTTの完全子会社になり、ドコモは変化の節目にある。おしゃれなスーツと花柄のワンピースを身につけた若手社員2人は「新生ドコモ」を象徴しているようだった。
しかし、その後の質疑応答は、ドコモらしかった。
本当にメインブランド?
「アハモは若手社員のボトムアップで出てきたのか」と問われた井伊社長は「別に若手がこれを作りたいと言ったわけではない。経営的な判断で、この層を獲得するにはどうすればいいか考えた」とあっさり否定した。具体的な検討は任せたが、方向性は上層部で決めたという。
アハモは、9月の発足直後から携帯業界に値下げを求めてきた菅義偉政権の怒りを買わないよう、繊細に練り上げられた。
ドコモは当初、既存のメインブ…
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