2020年8月28日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 石塚博昭
NEDOは、炭素循環型社会の実現に向けて、微生物や植物を利用したバイオ生産プロセスの開発に着手します。
本事業では、新たなバイオ資源の拡充やバイオプロセスの工業化を可能とする要素技術や実生産プロセスに適した生産株の育種のための統合解析システムの開発を行います。これらの技術によって実生産への橋渡しを効果的に行うバイオファウンドリの基盤を整備し、バイオ由来製品の社会実装の加速とバイオエコノミーの活性化を目指します。
1.概要
パリ協定の締結や持続可能な開発目標(SDGs)の採択などによって、産業界ではCO2削減、炭素循環型社会の実現と持続的経済成長の両立が課題となっています。その対策の一つとして、再生可能な資源の活用と、それを経済成長に結びつけるバイオエコノミー※1関連技術の開発が注目されています。経済協力開発機構(OECD)によると、世界のバイオ産業市場は2030年に約200兆円規模に拡大すると見込まれています。このような情勢の中、日本でも2030年に世界最先端のバイオエコノミーを実現することを目標に、新たなバイオ戦略が策定されています(バイオ戦略2019、バイオ戦略2020※2)。バイオ生産プロセスは、原料を化石資源に依存せず、植物や微生物の細胞が持つ物質生産能力を人工的に最大限引き出した「スマートセル」などの構築によってバイオプラスチックや高機能化学品などを生産することが可能です。また化学プロセスに比べて省エネルギーな物質生産にも寄与することから、炭素循環型社会の実現に向けたカーボンリサイクル技術として大きく期待を集めています。
このような背景のもと、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」プロジェクトの研究開発項目【1】および【2】の実施者を公募し、3件のテーマを採択しました。バイオ生産プロセスによる物質生産を社会実装するためには、原料から最終製品に至る過程に存在するボトルネック(原料供給やスケールアップの難しさ)を解消することが求められています。採択したテーマでは、微生物や植物を利用して、原料から生産までの一貫したバイオ生産プロセスを開発するため、バイオ資源(酵素群・微生物・植物など)の拡充や、バイオプロセスの工業化を容易とする要素技術を開発します。また、各種技術をデータベース化し、実生産プロセスに適した生産株の育種のための統合解析システムの開発も行います。これらの技術によって実生産への橋渡しを効果的に行うバイオファウンドリ※3の基盤を整備し、バイオ由来製品の社会実装の加速とバイオエコノミーの活性化を目指します。
本事業においては以下のプロジェクトリーダー、サブプロジェクトリーダーを指名し、採択テーマの代表者と連携し、成果の最大化を図ります。
- ・プロジェクトリーダー:
- 関 実(国立大学法人千葉大学 理事)
- ・サブプロジェクトリーダー:
- 中川 智(一般財団法人バイオインダストリー協会 事業連携推進部長)
- ・サブプロジェクトリーダー:
- 松村 健(国立研究開発法人産業技術総合研究所 生命工学領域 生物プロセス研究部門 植物分子工学研究グループ長)
2.採択テーマ名と実施事業者
<採択テーマ名>
データ駆動型統合バイオ生産マネジメントシステム(Data-driven iBMS)の研究開発
<実施期間>
2020年度~2026年度
<実施事業者>
国立大学法人京都大学、国立大学法人九州大学、株式会社ニコンインステック、独立行政法人製品評価技術基盤機構、国立大学法人長岡技術科学大学、学校法人早稲田大学、国立大学法人広島大学、株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズ、国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立大学法人東京大学、花王株式会社、宇部興産株式会社、不二製油グループ本社株式会社、学校法人新潟科学技術学園新潟薬科大学、公益財団法人地球環境産業技術研究機構、国立大学法人東北大学、佐竹化学機械工業株式会社、合同酒精株式会社、学校法人常翔学園大阪工業大学、国立大学法人大阪大学、株式会社ちとせ研究所、一般財団法人バイオインダストリー協会
<採択テーマ名>
データベース空間からの新規酵素リソースの創出
<実施期間>
2020年度~2026年度
<実施事業者>
国立大学法人神戸大学、出光興産株式会社、小川香料株式会社、花王株式会社、高砂香料工業株式会社、長瀬産業株式会社、不二製油グループ本社株式会社、国立大学法人九州大学、国立大学法人東京大学、国立研究開発法人理化学研究所
<採択テーマ名>
遺伝子組換え植物を利用した大規模有用物質生産システムの実証開発
<実施期間>
2020年度~2024年度
<実施事業者>
国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立大学法人北海道大学、国立大学法人東京大学、鹿島建設株式会社、デンカ株式会社
【注釈】
- ※1 バイオエコノミー
- 経済協力開発機構(OECD)が提唱した、バイオテクノロジーと経済活動を一体化した概念です。バイオ資源そのものの利用だけでなく生体や生体高分子の機能の活用などの生物資源やテクノロジーを用いて、地球規模の課題の解決と経済発展の共存を目指す考え方です。
- ※2 バイオ戦略2019、バイオ戦略2020
- バイオ戦略(内閣府ホームページ)
- ※3 バイオファウンドリ
- バイオ由来製品の生産性向上やコスト低減化を図ることを目的とした培養・運搬・受託製造などのバイオ生産システムのことです。
3.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 材料・ナノテクノロジー部 バイオエコノミー推進室 担当:坂井、林、永井、伊藤(雅)
TEL:044-520-5220 E-mail:bioproduction@ml.nedo.go.jp
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:鈴木(美)、佐藤、坂本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp
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