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ユニクロ・無印・ミズノ…夏のマスク、12製品徹底検証|MONO - 日本経済新聞

日経トレンディ

新型コロナ対策のため、国民の大半がマスクを着けざるを得ない前代未聞の夏を迎える。そこへ各社が相次いで投入しているのが、暑さの中、少しでも快適に着用できるように工夫された新手のマスクだ。その使い勝手をリポートする。

気象庁も「平年より気温が高い」と予測する2020年の夏。懸念点は、真夏の高温・多湿の中でマスクを着けると、内側に熱がこもり、汗をかいて不快なことだ。帝京大学高度救命救急センターの三宅康史教授は、「マスクをすると、呼吸による体の冷却効果が得難くなり、熱中症のリスクが高まる可能性がある」と警鐘を鳴らす。マスクの生地自体が顔の熱で温められる上、吐いた温かい息が滞留しがちなためだ。さらにマスクで息がしづらいことで、呼吸時に動かす横隔膜と肋間筋に負荷がかかり、それらの筋肉が体内で余計に熱を発生させてしまう。

3月以降、シャープなどの異業種が不織布マスクの製造に参入した。そこへ、大手アパレルやスポーツメーカーなどが独自の素材を使った布マスクを引っ提げ、相次ぎ参戦。後者には、暑さや息苦しさを軽減するとうたう夏向きマスクが多く、こちらも売れている。

スポーツメーカーのミズノが水着や陸上ウエア用のストレッチ素材で作ったのが、「マウスカバー」「『アイスタッチ』マウスカバー」だ。5月20日にネット販売すると、初回の2万枚が即日完売、第2弾はアクセスが集中してサーバーが落ち、6月中旬過ぎにようやく再開にこぎ着けた。6月中に、マウスカバー87万枚、「アイスタッチ」マウスカバー70万枚の抽選販売の受け付けをECサイトで行い、申し込みがこれを大幅に上回るようであれば、追加増産も検討するという。

アパレルでは、無印良品(良品計画)が、生産時に余る残布を有効活用した「繰り返し使える2枚組・マスク」を発売。オーガニックコットンなどの夏に向く素材で作られている。3種類あるうち、6月5日発売の「サッカー織り」タイプは初回入荷分は早々に売り切れた。さらにユニクロが、汗に強い独自素材で作られた「エアリズムマスク」を6月19日に発売。ユニクロはこれを夏向きのマスクとはうたっていないものの、初日に全国の店舗で開店前から長蛇の列ができ、売り切れ店が続出した。

編集部では、こうしたマスクを実際に入手・装着して試してみた。夏にマスクを着ける際の不満を取材や各種アンケートから考察し、「熱がこもらない」「蒸れにくい」「肌触りがいい」「適度なフィット感」「耳ひもで痛くならない」の5つの観点に注目。一定時間着け続けた感想を記す。なお、サンプルは1枚ずつしか入手できなかったため、筆者の個人的な印象になる。

接触冷感マスクが気持ちいい

まず、「熱がこもらない」対策として注目されるのが「接触冷感素材」を使ったマスクだ。これは、生地の形状により熱伝導率や熱拡散率を高めた素材。肌から生地にすぐ熱が移動して外に拡散するので、ひんやりと感じる。その強さは接触冷湿感評価値「Q‐max」で数値(単位はW/平方センチメートル)として示される。この数値が高いほど触って「冷たい」と感じやすい。

Q‐maxの数値が0.38と高いのが、石川県の化学素材メーカー、小松マテーレが開発した「ダントツマスクール」だ。同社は、大手スポーツメーカーやアパレルの接触冷感素材をOEM生産してきた実績がある。今回はその技術を活用し、自社マスク生産に踏み切った。体感としても着けた時ひんやりし、生地の温度が上がらない感触が続いた。「現在、第2弾として、より息がしやすい新タイプのマスクも開発中」(小松マテーレ)と言う。今回のマスクの中で、Q‐maxを開示していたのは、イデア「2層式 洗えるひんやり夏マスク」が0.271、ギャレリアインターナショナル「超冷感 コールドマスク」とコックス「ぴたマスク」が0.15だ。

マスク内の熱のこもり具合は、マスクの形状によっても軽減できる。マスク内の口の前に僅かな空間があって、頬に生地が隙間なく密着する形になっていると、吐いた息が口先から素早く外に排出され、マスク内で広がりにくい。本体と耳ひもを一体化したデザインにすればその形状のマスクを作りやすい。

その形をうまく実現させており好印象だったのは、コックスのぴたマスクだ。本体と耳ひもが一体になった形状で、商品名の通り、口以外の部分が肌にぴたっと張り付く。接触冷感素材のため、接触した肌は少しひんやり感じることもポイントだ。ネット通販や全国のイオン系列の店舗で販売する。

ミズノのマウスカバーと接触涼感素材を内側に使った「アイスタッチ」マウスカバーも、ぴたマスクと似たような設計だ。熱がこもりにくく、伸縮性に優れた肌への密着度が高い素材を使用。不織布マスクより通気性が良く、息がしやすい。

■接触冷感「最強」マスク

「ダントツマスクール」(小松マテーレ)。ポケット部に同社開発のインナー素材を水を含ませて入れると、さらに温度を下げる効果がある。ただし口元は湿っぽくなる
●価格/1650円(税込み・1枚入り)●サイズ/高さ8.5センチ×幅17.5センチ●素材/ナイロン、ポリウレタン●Q‐max値(W/平方センチメートル)/0.38

試してみた!
装着した時にヒヤッとする感覚が今回試したマスクの中でも最も強い。歩行中も吐息がマスク内で広がらず素早く排出され、口元の蒸れも温度上昇も軽減されていることを実感。シャリ感がある生地の肌触りも良好

■肌に密着して呼吸しやすい

「ぴたマスク」(コックス)。マスクは顎のラインに密着。耳に掛ける部分は伸縮性がある。水色、ピンク、白、黒、グレーなど12色展開。子供用サイズもある
●価格/ 1320円(税込み・3枚入り)●サイズ/高さ13.5センチ×幅18センチ(大人用。幅は編集部で実測)●素材/ポリエステル、ポリウレタン●Q‐max値(W/平方センチメートル)/0.15
試してみた!
口元に必要最小限の空間があり、呼吸しやすい。頬に生地が密着し、吐息がマスク内で拡散せず、すぐに放出されて歩行中も快適。だが、汗をかくと密着感があるぶん、布が肌に張り付く

■柔らかく包み込む肌触り

「ひやマスク」(コックス)。耳ひもは細いが伸縮性に富んで柔らかく、長さも調節できる。長時間かけていても痛くならない。小型サイズの子供用もある
●価格/ 1320円(税込み・2枚入り・フィルター20枚付き)●サイズ/高さ17センチ×幅21センチ(大人用)●素材/ポリエステル、ポリウレタン●Q‐max値(W/平方センチメートル)/非公表
試してみた!
生地が非常に柔らかく、口を優しく包み込む感触で、長時間気持ちよく着けていられる。ただ、マスク内は、空間に余裕があるぶん吐息が広がり、口周りに熱を感じやすい印象

フィット感抜群の接触冷感タイプ

「2層式 洗えるひんやり夏マスク」(イデア)。ワイヤーの入っている鼻部分はほぼ隙間なくフィットする。立体縫製によって口の前が自然に少し盛り上がるため、呼吸がしやすい
●価格/1890円(税込み・2枚入り)●サイズ/高さ13.5センチ×幅19センチ(Mサイズ)●素材/ポリエステル、ポリウレタン、レーヨン、綿、再生繊維、防菌糸●Q‐max値(W/平方センチメートル)/0.271
試してみた!
鼻部分にワイヤーが入り、顔の凹凸に合わせて形状を変えられ、フィット感が高い。口の前に十分な空間があり、呼吸も楽だ。息を吐くとその熱さがマスク内に広がるも、すぐに放出

伸縮性の高い接触冷感素材でカバー

「超冷感コールドマスク」(ギャレリアインターナショナル)。マスクの内側にはポケットがあり、付属の「PM2.5フィルター」を挿入して、粉じん、黄砂や飛沫を防ぐ力を高めることも可能
●価格/1078円(税込み・1枚入り)●サイズ/高さ9.5センチ×幅17.5センチ●素材/ポリエステル●Q‐max値(W/平方センチメートル)/0.15
試してみた!
本体、耳ひも共に伸縮性が高く、着用前は面積が小さく見えたが、伸ばすと口周りをしっかりカバーできた。ただ、顔が大きめの記者にはややテンションがきつく、耳への負荷が気になった

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July 11, 2020 at 01:00AM
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