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あのトラウマが蘇る『ガシャポンサウンド ジャンケンマンJP』レビュー。音声だけでなく高難度も移植(橋本新義) - Engadget 日本版

「ガチャポン」の通称で知られるカプセルトイは、毎月非常に多数のアイテムが発売される賑やかな業界です。基本的には小型のフィギュアやストラップといったアクセサリーなどが中心ですが、昨今はEngadget読者もご存じのように、突発的にガジェット的なアイテムや、年齢層が妙に高い(が、それゆえに人気が出そうな)アイテムが登場することがあります。

今月に入り、そんな(とくに30代後半以上の方にとっては)懐かしいアイテムがバンダイから販売されました。それが『ガシャポンサウンド ジャンケンマンJP(ジャックポット)』。カプセルトイは当然ながら店舗によって入荷状況が異なりますが、速いところでは絶賛稼働中です。

今回は、筆者が入手して試してみましたので、レビューの形で紹介します。


親の声より聞いた“あの”音声が聴き放題

ジャンケンマンJP
▲バンダイの解説画像で一番目立つキャッチも「あの懐かしいサウンドが聞ける!」です

このアイテムは、1980年台後半から1990年代にわたり、子供向けに大人気だった業務用ゲーム機をキーホルダーサイズに小型化したもの。外観がミニチュアとなっているだけでなく、実機からサンプリングされた音声(後述)が流れるのがポイントです。

なお音声出力のため、ガチャポンアイテムとしては珍しく、ボタン型電池LR44を2個使用します。このためもあってか、店頭での価格は400円と高め。

元となった『ジャンケンマンJP』は、機械を相手にじゃんけんをして、もし勝利できたらメダルや景品が払い出される……という、非常にわかりやすいシステムのゲーム。

基本操作となるのはコインの投入と、グー/チョキ/パーを選ぶ3つのボタンを押すだけ。驚くべきことにスタートボタンさえありません(コインを入れるとそのままスタートになるため)。

特徴としては、ゲーム機の中央に設けられた、コンピューター側の手を示す小型ランプと、ゲーム進行を示す数々の音声が挙げられます。とくに音声に関してはいろいろな意味で印象に残るものとなっており、今でも覚えているという方が多いハズ。なので、このアイテムも音声入り――というわけです。

ジャンケンマンJP
▲ガチャカプセルには、本体と解説書、そして盤面シールが入った構成。盤面シールは購入者が貼るタイプです

ゲーム機における音声は、スタート時の「ジャン、ケン」で始まり、プレーヤーの操作に合わせて「ポン!!」の声が。ゲームをシンプルにするためか、後出しなどはなく、必ずプレーヤーのタイミングに合わせます。

プレーヤーが負けると「ズコッ」と声が流れます(なお、本当はズコッが正しいのですが、筐体[きょうたい]のスピーカーとの相性からか、「パ」とだけ聞こえるという意見が多かった……という余談があります)。

もちろん、あいこが取れれば「あーいこ、で」「しょ!!」の声が。こちらもプレーヤー側のボタンに合わせて「しょ」となります。

そして勝った場合は、「フィーバー!!」の声とともにルーレットが回転。止まった箇所の数字にある枚数のメダルが払い出されます(なお、ここもボタンによる停止などは不可能で、自動的に止まるのを見ているしかできません)。

なお、JPはこのルーレットが由来で、最高は50枚(これがジャックポット)という大当たりとなります。

こうして、素晴しい幸運に恵まれて勝ったときには「ヤッピー!!」の音声とともにメダルが払い出され、ちょっと軽めのノリで祝福してくれる……という流れとなっています。


長い歴史(と多くの犠牲者)を持った超ロングセラー

ジャンケンマンJP
▲解説書の「あそびかた」。ポイントとなるのは、3つあるボタンの中央のみが押せる構造という点。なお音声は決まったパターンに沿ってループします

さて、実はこのジャンケンマン、今回アイテム化されたJPの前にも、いくつかシリーズを重ねているゲーム機。しかもその歴史が非常に長いのです。

JPは1991年ごろの発売ですが、初代機は1985年ごろの登場。この時点で6年間シリーズが続いているのですが、現時点で最終作となっているのは、なんと2001年の『ジャンケンマン21』。16年を経過しても続編が出ているという、隠れた超長寿シリーズなのです。

これだけの大ヒットなので生産台数も多く、一説によると初代のみでも約5000台。結果として、「全国の駄菓子屋やゲームコーナーなどでは、どこに行っても見る」ほどのマシンとなりました。

……のは良いのですが、これはメーカー側からの視点。プレーヤーとなる(当時の)小~中学生から見たこのマシンの記憶は、なんといっても鬼畜度――難度の高さかと思われます。

ジャンケンマンJP
▲本体裏面。天側にスピーカーが位置し、底面側にはバッテリー蓋が。そう、イマドキのガジェットには珍しく(?)バッテリーが交換できる仕様なのです

というのもこのジャンケンマン、現在の視点からするといわゆる“確率機”の範疇に入ります。つまり、基本的には設定された一定確率に沿って勝敗が決まる仕様です。とは言っても「運が良くなければ勝てない」のは、実際のジャンケンでも同じこと。

しかし問題は、その確率でした。もちろん業務用ゲーム機だけあり、当たり確率はいくつかの設定から選べるのですが、基本設定では子供にとっては割と厳しめなもの。感覚的には運が良くても(設定が甘くても?)5回に1回、運が悪ければ10回に1回といったところでしょうか。

しかも1コインでできるのはジャンケン一回勝負なので、プレイ時間は推して知るべし。それこそ「ジャン ポン ズコッ」(※『ジャンケン』の音声は、ボタンを押すとスキップされる仕様なので、大抵はこうなります)を聞くだけの3秒間。そのわずか3秒で、当時の子供にとっては大切な10円が吹っ飛ぶ……というのが基本的展開でした。

正直、1プレイの代金は安価とはいえ、昨今のご時世では許されない難度と言っても過言ではないはずです(当時ゲームコーナーなどで子供に付き合ってプレイし、この“回転率”を見て驚いている親御さんも数回見ています)。

ということで、純真だった少年がこのゲームに巡り会ってしまったゆえに、大人の階段を少し昇った……という事例は枚挙に暇がないはずです。今でしたらYouTubeに動画もいくつかあるので、確認してみるとその恐ろしさを知れる、あるいは思い出せるかもしれません。

しかし、子供達から見てもゲームマシーンとしては完成度が高く、そして妙な中毒性があったことなどから大人気に。上述したようなヒット作となった次第。裏を返せば、それだけ10円を溶かした犠牲者も多かった、というワケですが。

このようにジャンケンマンとは、人によってはトラウマもの、あるいは恨み骨髄なゲーム機とも呼べるわけです。


これだったら「ヤッピー!!」聴き放題!! ……と思いきや

ジャンケンマンJP
▲側面部も実機を綺麗にミニチュア化しています。ボタンが並んだ箇所付近のなだらかなカーブがポイント

さて、改めて今回の「ガシャポンサウンド~」を見てみると、上述したジャンケンマンの声が鳴る、手のひらサイズのミニチュアフィギュアといった趣。

ボタンは実機と同じように3つ並んでいますが、中央のボタンのみが押せるタイプ。このボタンを押すたびに、決まった順番で音声が流れるというシステムです。

実物を見て驚いたのは、盤面はシールになっており、購入したユーザーが貼る仕様となっている点。最初に見た際には「これはもしや、400円で出すには原価ギリギリだったのだろうか……!?」という考えが頭をよぎりました。

本体のサイズはここまで掲載した写真のように、手のひらに載るぐらい。音声のスピーカーや、上述の電池を入れる電池ボックスは本体背面側に搭載されています。

もちろん本体のサイズ比などは、(元がシンプルなこともありますが)かなりの忠実度となっており、満足度はかなりのもの。実物の筐体で特徴的だった天面側のパトランプ(当たった時などに光ります)も、内部造形は省略されているもののしっかりとミニチュア化されています。

ジャンケンマンJP
▲「ラインナップにより聞ける音声が変わる!」とだけ書かれているので、最初は「勝てないバージョンだ」と気が付きませんでした……

……さて。こうして購入してしまえば、音声だけながら、勝ったときの「フィーバー」や「ヤッピー!!」が聴き放題に!! となりそうですが、そこは鬼畜ゲーム機種、そうは簡単には行きません。

というのも本体デザインは同じながら、音声パターンは中央ランプの柄(ジャンケンの手)によって決まっているのです。この柄は「パー」「グー」「チョキ」ですが、バリエーションは4種類。パーのみが2種類あります。

そして、勝てる(音声が出る)のはレアな『パー(ヤッピーVer.)』と呼ばれるバージョンだけなのです。つまり、このレアアイテムを引かなければ、音声でさえも勝てません。

……これを知った時に「そんなところまで原作再現をしなくてもいいよ!!」と叫んだのは、きっと筆者だけではないはずです。

ジャンケンマンJP
▲これが憧れの“勝てるバージョン”ことヤッピーVer.。これに気が付いたときは「ガチャポンなのでレア度はあるとはいえ、こんな形にしなくても」「いやでも、ここまでやってこその原作再現か……」という感情が交錯しました

ということで筆者も何回か購入していますが、いまだにヤッピーVer.にはお目に掛かれず。「時空を超えてあなたは一体何度、我々の前に……」と、某MMRのようなセリフも口から出てくるような心理状態です。

嗚呼、恐るべし忠実移植。

ジャンケンマンJP
▲底面側には番号が。盤面がシールということで「もし複数買って、貼ってない状態で混ぜてしまったら……」と心配な方もおられるでしょうが、この数字で判別できます

なお本命の音声ですが、小口径のスピーカーながら聞き取りやすく調整されているものか、かなりクリアです(もちろん、元の音声の“くぐもった感”を消さない範囲で、ですが)。

おかげで気分転換的に、「ジャン ポン!! あい ショ!! ズコッ」と音声を聞いて和む(※和めません)ことも増えました。

こういったガチャ要素の(あまりの)強さはともかくとして、完成度という点ではなかなかオススメできるアイテムです。とくに昨今のスマートフォンやノートPCでも不可能な電池交換がサポートされているという点は、個人的には喜ばしいところでした。


お小遣いがあっという間に溶けたトラウマが、今蘇る

ジャンケンマンJP
▲解説書の表紙はこのようなレイアウトに。赤枠に白抜き文字で書かれた「対象年齢15歳以上」の文字が光ります

このように『ガシャポンサウンド ジャンケンマンJP』は、原作のトラウマをいろいろな意味で現代に蘇らせてくれる、ある意味で好移植なガチャポンと呼べるアイテム。もちろん肝となる音声も雰囲気バッチリなので、当時お小遣いを一緒に溶かして泣いた友人がいれば、盛り上がること間違いなし。

個人的には「臥薪嘗胆」的なシチュエーションで使うのがオススメです。具体的にはどういう状況か、と言われるとちょっと答えに困りますが。

また対象年齢は、そんな忠実度を反映してか、ガチャポンアイテムとしては非常に高めな「15歳以上」。いろいろな意味で制作側が“わかっている”アイテムです。

さて、ここまでトラウマを蘇らせてくれる作りであれば、次はぜひ、自社グループ(バンプレスト)の、そしてプレイ価格設定からジャンケンマンシリーズ以上の鬼畜マシーンとして知られる『ポスタードリーム』のミニチュアをシリーズとして販売してほしいところ。

ぜひともこの調子で、幼かったころのトラウマを刺激するアイテムのシリーズへと成長してほしいものです。

Source:バンダイ ガシャポンワールド 製品紹介ページ

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June 14, 2020 at 06:13AM
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