『あつまれ どうぶつの森』は発売3日で国内188万本の売上を記録しており(しかもこの数値はDL版を含んでいない)、評論家やプレイヤーからの評価も高い。かくいう私も無人島暮らしをとても満喫している。
しかし、本作が発売される前には不安もあった。そもそも「どうぶつの森」シリーズは基本的な構造はすでに完成しており、ちょっとした要素を付け足すくらいでは新作として認められないのだ。『あつまれ どうぶつの森』のタイトルすら発表されていなかったころに、私が「新作は“飽き”を払拭できるか?」という記事を書いたように、求められているハードルは高かったのである。
はたして『あつまれ どうぶつの森』はどうやって、ファンの期待に応えたのか? その答えはシンプルに、“物量”ではないか。
『あつまれ どうぶつの森』は細分化されている
『あつまれ どうぶつの森』が発売される約一ヶ月前、本作のDirect映像が放送されて新要素が明らかになった。DIYできるようになったり、家具を外にも置けるようになったし、島の土木工事ができるようになったという内容だ。
これを見たIGN JAPANのクラベ・エスラは、僕に「思ったより新しい要素がないのでは?」と言った。確かに、その指摘は正しい。これらはあくまで従来の要素の延長線上にあるものだ。前出の記事で、新作の予想として私はこう書いた。
- 今後は道を引いたり村そのものの地形をいじる土木工事などができるようになる可能性はあるだろう。
- どうぶつたちはある程度自由に呼び寄せられるのではないだろうか。
- マルチプレイ要素も強化されるのではないか。
このあたりの予想は当たっている。とはいえ別にすごいわけではなく、おそらくシリーズのプレイヤーであれば想像がつくであろう内容だ。逆にいえば想像を超えてくるような新システムは特になかったのだが、実際に遊び始めると僕もクラベ・エスラもたいへんに満足しているのである。
さらに本作はゲームプレイのペース配分が独自なうえ、ゲームの展開もゆったりになっている。「しゃべりすぎGAMER」191回でも話題になっていたが、「おきにリング」という道具を楽に持ち替えるUIも解放されるのに一手間だし、そもそも従来は店などがすでにある村に移り住んでいたのに、今回は何もない島から始まるのだ。
本作の新要素「DIY」も同じである。以前は家具がそのまま手に入ったが、今回は材料を手に入れて作っていくのだ(もちろんそのまま手に入る家具も存在しているが)。要するに、家具を手に入れるまでの道のりが長くなってしまった。
『あつまれ どうぶつの森』は想像を越えてくるような新システムもなく、むしろペース配分もこれまで以上に遅くなった。村が島になり、家具はDIYで作る必要が増えた、つまりゲームプレイはさらに細分化されたのだ。細かく分けたら薄味になりそうにも関わらず、高く評価されているのである。
量が多ければむしろ細分化されたほうがいい
なぜ細分化されたのにおもしろくなったのかといえば、答えはシンプルだ。総量が多ければ、細分化しても問題ないのである。
たとえばDIYにおいては、作れる家具の種類が豊富なだけでなく、木材で作るもの、鉄で作るものなど分類も多く、しかも徐々にいろいろとアンロックされていく。いままでゴミ扱いだったアイテムにすら使いみちができたのだ。こうなるとプレイヤーはたくさん素材を集めておきたくなるし、新しいDIYレシピを手に入れたら片っ端から試したくなるだろう。
施設に関しても同じだ。今回は役場が最初から存在せず、しばらく発展させていくと登場する。そして役場が完成するとできることが一気に増えるのだ。マイルで交換できるアイテムも大量に増え、橋をかけたり崖工事もできるように。島メロディや旗の変更といった従来の要素もあるので、とにかくやりたいことがドカンと増える。
さらにいえば今回は仕立て屋も途中で店ができる。そしてできるとプレイの幅がとてつもなく広がるわけだ。店には日替わりの商品がたくさんあって試着するだけでも楽しいのに、自分のマイデザインを飾ったり、ネットを介して他人のマイデザインをもらったり、あるいは自分のものを共有できるようになる。
勉強を教える際などもそうだが、一度にたくさんのことを伝えようとしても混乱するばかりだ。だからゲームも少しずつ要素を見せていく。つまり総量が多ければ、より細分化したほうがいい。そう、『あつまれ どうぶつの森』はむしろ細分化しなければならないくらい、要素が増えているのである。
住人のどうぶつたちが想像もつかない行動パターンを取る
『あつまれ どうぶつの森』は家具などのアイテムの数もかなり増えているようだし、「たぬきマイレージ」というプレイ目標も増えている。しかもハードがNintendo Switchになったので“情報量”という物量もかなりのものだ。
本作は風も進歩している。島で過ごしていると風が強くなったり弱くなったりするのを感じるだろうが、これはサウンドが変化するだけではなく、木はもちろん洗濯物すらも風に煽られたりするのだ。
もともと「どうぶつの森」シリーズの虫や魚はリアル志向だが、解像度が上昇したおかげでさらにこだわられている。専門的な人が見れば思うところもあるのではないだろうか。
魚・虫・化石を展示する博物館もかなりの作り込みだ。ライティングの美しさはもちろん展示の方法もこだわられており、無人島に作られる施設としては法外に立派すぎると思うくらいである。
また、島にいるどうぶつ(住人)たちの行動パターンも非常に増えた。魚釣りや虫取りはもちろん、そこらに座って休憩したり、ヨガや筋トレをすることもある。雨の日はポンチョに着替えるし、風邪をひいているときは寝間着になっているのだ。
特に驚いたエピソードがある。私が自分の島で「けけタンゴ」という曲を流していたら、ある日マーサがそれを歌っていたのだ。
#あつまれどうぶつの森 どうぶつが歌っていると一緒に歌いたくなっちゃうなー。 pic.twitter.com/5onsPfhpE2
— SSDM (@SSSSSDM) March 30, 2020
その翌日、今度はやよいが「けけタンゴ」をソロで歌うようになっていた。その夜にはシルビアも! どうやら島で流している曲が住人たちの間で流行る、なんてパターンもあるようだ。
#あつまれどうぶつの森 ああっ、うちの島で「けけタンゴ」が流行っている! 前はマーサが歌っていたのに、今度はやよいが人前(どうぶつ前?)で披露するようになってるぞ。ホントにどうぶつの行動パターン多いな。 pic.twitter.com/i3cJGBV497
— SSDM (@SSSSSDM) March 31, 2020
とにかく毎日のように見たことのないものや出来事に遭遇する。しかも、私はまだプレイして2週間程度だから、今後にはさらに違う何かが待ち受けているだろう。ゲームシステムに新要素が少ないように感じられても、プレイヤーが見たことのないものがこれほど増えれば、当然ながら新鮮に感じられるわけだ。
無人島では今までを超える数のアイテム、経験が待っている
初代『どうぶつの森』では、狭い村が舞台であるがゆえにコンプリートできないほどアイテムの量にこだわったと開発陣が語っている。集めきれないほどのアイテム・遊びきれないほどの要素があれば、プレイヤーも長く楽しめるだろうという考えなわけだ。
『あつまれ どうぶつの森』はまさにその方法を実践している。アイテムも増えたし、できることも増えたし、画面の情報量も増えた。役場に入ればしずえはラジオ体操をしていたり、花に水をやっていたり、お茶を入れていたりと、こういう細かい部分のパターンもとにかく多い。
だからこそスローペースで解放が遅くても、その途中にたっぷりといろいろな要素があるので飽きる暇がない。何かが解放されれば一気に要素が増えるので、次までも楽しみながら待つことができるわけだ。しかしながら物量で勝負するとなると、作るのはとても大変だっただろう。前作となる『とびだせ どうぶつの森』から7年半近くもかかるわけである。
『あつまれ どうぶつの森』は温故知新ともいえる力技で新たな楽しみをプレイヤーたちに与えた。素直な戦法だが、「よりたくさんのアイテムがある、よりたくさんの経験がある」というのはこの作品に最も求められていることだろう。
渡邉卓也(@SSSSSDM)はフリーランスのゲームライター。テーブルの上にコーヒーを置いていたところ、近づいたどうぶつがその香りを嗅いでいた、なんてパターンにも驚いた。
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April 05, 2020 at 11:00AM
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