酒類を製造する若鶴酒造(富山県砺波市)は、アルコール度数77%の高濃度エタノール「砺波野(となみの)スピリット77」を4月13日に発売した。だがその直後の14日、直営店の「令和蔵」では不定期販売とすることを発表した。その理由について同社は、「開門前の行列や路上駐車をやめるよう事前告知、警備を行ったにもかかわらず、一部の客が開門前に押し寄せ、近隣住民に迷惑がかかってしまったため」だとしている。
今後、個人向けに「令和蔵」で引き続き同商品を取り扱うものの、開店時からの販売はしない。混乱防止のため、個人への取り置きや入荷についての案内、電話やメールでの予約、個別の発送も一切実施しない。同社は開門前から並ぶことをやめるよう呼びかけるとともに、「令和蔵での販売可能本数には限りがあることをご承知おきください」とコメントしている。
また、医療機関から問い合わせる場合は、電話ではなくメールもしくはFAXの利用を呼びかけている。「小さな酒造ですので電話回線が限られており回線がパンクしてしまうと業務に支障がでます。資材の入荷や出荷に影響が及べば計画的な製造や必要とされている方に製品を早く届けることが困難になってしまいます」と切実な現状を訴えている。
同商品はサトウキビ原料のアルコールに水を加えてボトリングしたもので、価格は300ミリリットルで880円(税別)。1週間で約1000本製造し、北陸を中心とした医療機関や若鶴酒造直営店などに優先的に供給している。
高濃度エタノールについては、厚生労働省は酒類メーカーが製造する高濃度エタノールを消毒液の代わりとして使用することを特例として認めている。この特例は新型コロナウイルスの感染拡大でアルコール消毒液が不足していることを受け、4月10日に全国の医療機関などに通知された。また、4月22日には「70%以上のエタノールが入手困難な場合には60%台のエタノールでも手指消毒用として使用して差し支えない」と通知が改定された。
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