Dynabook株式会社は3月4日、教育現場の声を反映したという学習向けの着脱式2in1「dynabook K1」を発表し、3月13日に発売した。実機を入手したので試用レポートをお届けしたい。
Gemini Lake RefreshのCeleronを搭載した10.1型2in1
2020年度から小学校で「プログラミング教育」が必修となるのをご存知の方も多いと思う。文部科学省が提示しているPCの標準仕様案によると、OSはWindows10 Pro、Chrome OS、iPadOSの3種類。macOSが含まれないのは搭載機の価格の問題からだろう(1台45,000円限度の補助金)。
Windows搭載PCの場合は、Celeron以上、メモリ4GB以上、ストレージ64GB以上、加えて画面サイズやWi-Fi/カメラの搭載、バッテリ駆動時間、重量などといったさまざまな要件が定義されている。今回ご紹介する「dynabook K1」はこの仕様に沿ったものだ。
【表1】Dynabook「dynabook K1」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Celeron N4020(2コア2スレッド/1.1~2.8GHz/キャッシュ 4MB/TDP 6W) |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 600 |
メモリ | LPDDR4-2400 4GB |
ストレージ | eMMC 128GB |
OS | Windows 10 Pro |
ディスプレイ | 10.1型1,280×800ドット、非光沢、10点タッチ、充電式アクティブ静電ペン(オプション)対応 |
ネットワーク | IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0 |
インターフェイス(本体) | USB Type-C(DisplayPort Alt Mode対応)、背面約500万画素/前面約200万画素カメラ、microSDカードリーダ、音声入出力、加速度センサー |
インターフェイス(キーボード) | USB 2.0×2 |
バッテリ駆動時間 | 約16時間 |
付属品 | 無線式(USBドングルつき)マウス |
付属ソフト | Office Home and Business 2019 |
サイズ | 約249×186.7×18.7mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 単体約610g、キーボード接続時1.18kg |
店頭予想価格 | 7万円前後 |
プロセッサはGemini Lake Refresh世代の Celeron N4020。2コア2スレッドで、クロックは1.1GHzから最大2.8GHz。キャッシュは4MB、TDPは6W。メモリはオンボードでLPDDR4-2400の4GB。ストレージはeMMC 128GB。OSは64bit版Windows 10 Proを搭載。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel UHD Graphics 600。外部出力用にDisplayport Alternate Mode対応のUSB Type-Cポートを用意。ディスプレイは非光沢で10.1型1,280×800ドット。10点タッチとオプションで充電式アクティブ静電ペン(PA5342N-2PEN)が利用できる。このペンは約15秒の充電で約90分使用可能とのこと。
ネットワークはIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0。そのほかのインターフェイスは、本体側に前述したUSB Type-C、背面約500万画素/前面約200万画素カメラ、microSDカードリーダ、音声入出力、加速度センサー。キーボード側にUSB 2.0×2。
サイズは約249×186.7×18.7mm(幅×奥行き×高さ)、重量は単体で約610g、キーボード接続時1.18kg。キーボードが外れタブレットにもなる着脱式の2in1だ。
カラーバリエーションはゴールドのみ。バッテリ駆動時間は最大約16時間。Office Home and Business 2019と無線式(USBドングルつき)マウスが付属し、店頭予想価格は7万円前後となる。Office分を引けば5万円台なので、国内PCメーカーとしてはハードウェア的リーズナブルなほうだろう。
筐体は一時期よく見かけたタブレットとキーボードが分離する着脱式2in1だ。ただしキックスタンドはなくクラムシェルタイプとなる。DynabookのWebサイトでは「厳しい評価基準を課した徹底した品質テスト(コネクタこじり試験、ヒンジ開閉試験、振動試験、100kgf面加圧試験、76cm落下試験、30cc防滴試験など)……」と、堅牢性が謳われている。実際持ってみると確かにガッチリしており、そう簡単に壊れそうもない。
重量は実測で本体596g、キーボード579gの計1,175g。1kgちょっとと軽量級なのだが、サイズ感とこのガッチリした雰囲気もあるせいなのか、持った時はズッシリ重く感じる。カラーバリエーションはゴールドのみ。掲載した写真だと光り方の関係でシルバーに見えるが、キーボードの写真が一番現物に近い。
前面はパネル中央上に約200万画素の前面カメラ。キーボードのフットプリントを稼ぐため狭額縁ではない。左側面は本体側に電源入力、キーボード側にUSB 2.0。右側面は本体側に電源ボタン、音量±ボタン、USB Type-C、音声入出力。キーボード側にUSB 2.0を配置。本体裏には約500万画素の背面カメラ。下側面右側にはmicroSDカードスロットがある。
付属のACアダプタは、サイズは約80×35×25mm(幅×奥行き×高さ)、重量142g、出力19V/2.37A。バッテリ駆動時間約40%を30分で充電できる「お急ぎ30分チャージ」に対応している。マウスは無線式だ。単3形電池1本使用し、無線アダプタのUSBドングルはバッテリとともにマウス内に収められており使用時に取り出す。
10.1型のディスプレイは、非光沢で目に優しく、明るさ、コントラスト、視野角も良好。写真からわかるように赤が鮮やか。価格のわりに結構良いパネルが使われているのだろう。タッチ操作もスムーズに反応し、タブレットとして使用してもまったく問題ない。ペンに関しては貸出機に含まれていなかったので試せなかった。
キーボードはアイソレーションタイプ。主要キーのキーピッチは約17mm。[Enter]キーとその周囲は若干せまくなっている。仕様によるとキーピッチ17mm、ストローク1.2mm。子供向けと考えるとピッチは十分だろう。打鍵感はわりと硬めだ。タッチパッドは物理的なボタンがない1枚プレート型。パームレストも含めこのサイズとしては広めにまとまっている。
カメラは軽く試したところ、前面/背面ともにオートフォーカス対応。ただし画質は今どきのスマートフォンと比較するとイマイチだ。
使用時は本体に振動やノイズがなく静か。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、本体裏側の一部がほんのり熱を持つ程度でタブレット利用時の持ち運びに支障はない。
サウンドはスピーカーの位置が少しわかりにくいかもしれないが、ロゴのあるフチ左右のスリットに埋め込まれているため音がダイレクトに耳へ届く。抜けが良くパンチもあり、パワーはこのクラスとしてはあるほうだ。加えて左右それなりに距離があるためステレオ感も出る。横位置限定だが、本体だけで音楽や動画も楽しめるだろう。
2in1として結構堅実に作られているのがわかる。ただ子供が使うなら、できれば防塵・防滴も対応してほしかったところか。
性能はそれなりだがバッテリテストでは12時間以上動作
dynabook K1は、Celeron、4GB、eMMCという構成なので、Core i/SSDクラスの快適さにはおよばないものの、Atom搭載機よりはサクサク動く。学習向けなので、実際どのようなアプリを使うのか不明であるが、タッチやペンにも対応しているので選択肢としては悪くない。
ストレージはeMMC 128GB。C:ドライブのみの1パーティションで約113GBが割り当てられ空き容量は79GB。Wi-Fi、BluetoothともにRealtek製。またデバイスマネージャーには加速度センサーも確認できた。
おもなプリインストールソフトウェアは、「CyberLink ColorDirector 5」、「CyberLink PhotoDirector 5」、「dynabook お客様登録」、「dynabook サポートユーティリティ」、「dynabook スマートフォンリンク」、「ExpressVPN」、「i-フィルター 6.0」、「LoiLoScope 2」、「PC引越ナビ」、「TruCaptue/Note/Note Clip/Note Share/Recorder」、「WinZip」、「アプリケーションの再インストール」、「あんしんWeb」、「ウイルスバスタークラウド」、「おたすけナビ」、「思い出フォトビューア」、「思い出フォトビューア クッキングプラス」、「パソコンで見るマニュアル」、「バックアップナビ クラウド」、「ぱらちゃん」、「ぱらちゃん カフェ」、「筆ぐるめ 27」、「ポコ★タイピング」、そして「Microsoft Office Home & Business 2019」と山盛り。以前ご紹介した「dynabook G6」のサブセット的構成だ。
なかでも「ポコ★タイピング」(Webサイト)や「ぱらちゃん カフェ」は、小学生を対象としたタイピングやマウス操作/タッチ操作学習用となっている。
個人的な疑問点は、校内か自宅かでネット環境が違うだろうが、運用時、オンラインが中心なのかオフラインが中心なのかというところ。前者ならOfficeはOnline版で機能的に十分だろうし、後者だとポコ★タイピングが動作しない。標準仕様案では、Chrome OSも含まれているのでオンラインが中心なのだろうか。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R20、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Office。結果は以下のとおり。
3DMarkのTime SpyとFire Strike Ultraは遅すぎてスコアが0になっているが、いずれにしてもCeleron内蔵のGPUではゲーム系は期待できない。PCMarkはノートPC用のCore i7と比較してざっくり2分の1から3分の1といったところ。プロセッサの性能並みだろう。
バッテリ駆動時間は、仕様上16時間に対して、12時間11分と健闘している。このとき、パネルもそこそこ明るく普通に使うことができる。
【表2】ベンチマーク結果 | |
---|---|
PCMark 10 v2.1.2177 | |
PCMark 10 Score | 1,519 |
Essentials | 4,087 |
App Start-up Score | 4,474 |
Video Conferencing Score | 3,793 |
Web Browsing Score | 4,023 |
Productivity | 2,793 |
Spreadsheets Score | 3,050 |
Writing Score | 2,558 |
Digital Content Creation | 834 |
Photo Editing Score | 831 |
Rendering and Visualization Score | 528 |
Video Editting Score | 1,325 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 1,864 |
Creative Accelarated 3.0 | 1,559 |
Work Accelarated 2.0 | 3,056 |
Storage | 4,483 |
3DMark v2.11.6866 | |
Time Spy | 0(遅くて測定できず) |
Fire Strike Ultra | 0(遅くて測定できず) |
Fire Strike Extreme | 112 |
Fire Strike | 204 |
Sky Diver | 805 |
Cloud Gate | 1,881 |
Ice Storm Extreme | 8,913 |
Ice Storm | 13,496 |
CINEBENCH R20 | |
CPU | 198 pts(12位) |
CPU(Single Core) | 157 pts(12位) |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 152.010 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 116.131 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 21.378 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 29.647 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 21.257 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 28.949 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 8.436 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 25.991 MB/s |
PCMark 10/BATTERY/Modern Office | |
12時間11分(明るさ、バッテリモードなどはシステム標準) |
以上のように「dynabook K1」は、Celeron N4020、メモリ4GB、ストレージeMMC 128GB、10.1型パネルを搭載し、タブレットにもなる2in1だ。Celeronなので性能はそれなりだが、全体的な作りは、堅実でかつ、うまく価格内でまとめられている。
仕様上とくに気になる部分もなく、文部科学省が提示している標準仕様案に準じたPCってこんな感じか……という意味も含め、比較的安価でタブレットにもなる2in1であり、ペン対応も望んでいるユーザーに試してほしい1台だ。
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March 26, 2020 at 09:00AM
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