Research Press Release
Nature Geoscience
2020年2月25日
Planetary science: InSights from Mars
NASAの探査機インサイトが火星で最初の10か月に得た結果が、Nature Geoscience とNature Communications の一連の論文で報告される。今回の報告で、火星の地震活動が活発であること、そしてその内部構造、複雑な大気、磁場および地質についての情報が明らかになった。
探査機インサイトは、2018年11月26日に火星に到着し、エリジウム平原地域で非公式にホームステッド窪地と呼ばれる、小さな埋まったクレーターに着陸した。インサイトは、火星の内部構造と組成を調べることを目的としており、これは、惑星を形作った複雑な過程を理解するのに役立つと考えられている。
Nature Geoscience のW Bruce BanerdtとSuzanne Smrekarたちによる論文では、火星における探査計画の最初の1年で得られたいくつかの重要な発見(マグニチュード3~4の20件以上の火震を初めて明瞭に検出したことなど)が明らかにされている。
Domenico GiardiniたちとPhilippe Lognonneたちは、それぞれ別の論文で、火星の地震活動をより詳細に検討している。インサイトは、2019年9月30日以降、火星で174個の地震活動を検出しており、そのうちの24個はマグニチュードが比較的大きく、震源は遠地であった。より大きな火震のうち2つは、その位置が、最近の火山およびテクトニクス活動の証拠を示しているセレベルス・フォッセ地域と確定された。
Nature Geoscience に発表されている一連の論文ではさらに、重力波と低周波音波を含む大気中の現象が明らかされており、着陸地点における局所的な磁場が予想された値よりも10倍強いことが示されている。Nature Communications に発表された研究ではまた、着陸地点の表面の地質学的性質と浅部の地下構造について述べられている。
インサイトのミッションは、さらに1地球年継続する予定であるため、こうした初期の結果に、より多くの測定結果が加わることで、火星について新たな発見と調査結果が明らかになると期待される。
doi:10.1038/s41561-020-0544-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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