先週の2月8日(土)に、恒例の“ポータブルオーディオ研究会 2020冬”(主催:フジヤエービック、略してポタ研)が開催された。このイベントはヘッドフォン祭よりは小規模だが、ポータブルオーディオの分野でよりマニアックな製品を展示する場として、毎年2回開催されている。会場ではメーカーの試作機を聞くこともできるし、メーカーもユーザーの意見を拾い上げる場としている。
本稿ではイヤホン関連で目に付いた製品を紹介したいと思う。
人気のfinalは、20万円イヤホンの音を1万円で出すことにチャレンジ
会場で人気があったのが、finalブランドを展開するS'NEXTのブースだ。finalはハイエンド機の「A8000」(実売20万円弱)を昨年発売し、話題となっているが、
ここではそのAシリーズのエントリー機になるという新製品のプロトタイプが持ち込まれていた(名称未定だがおそらくA1000)。A8000のようにピュアベリリウム振動板を搭載することはできないが、そのクリアさをできるだけ1万円台前半の価格で実現したいとしている。
会場には音のチューニングが異なる“Aタイプ”と“Bタイプ”の2機種が持ち込まれ、来場者は聴き比べをしてメーカーの人に直接意見を伝えることができた。実際に聴き比べてみると、Aタイプは音が前に出る感じで躍動的、Bタイプは広がりがあるが少し引いて客観的なチューニングだと感じた。製品発表が楽しみだ。
個性的な中華ブランドも登場、信じられないハイエンド機も
サイラスブースでは、フジヤエービックで取り扱う予定の新興ブランド“tp”(ティンパオ)のイヤホンが参考展示されていた。バランスドアーマチュア型の1ドライバータイプ(約3~4万円くらい)と、3ドライバータイプ(約6~7万円くらい)が用意されていた。
特徴はイヤホンのシェルの内部までみっしりと樹脂が詰まっている点とのこと。これによって、ドライバーの背面や側面から漏れる音は遮断して、前方向に向かう音だけを耳に届けることができるというものだ。音はたしかにすっきりとした音色であるように感じられた。
七福神商事ブースではヘッドフォン祭の展示で話題となったSimphonio 「VR1」を展示していた。これは20万円を超えるハイエンド機だが、いままで小型のスーパーツィータにしか使えなかったようなセラミック振動板をなんと14.2mmものサイズで、フルレンジのシングルダイナミック型として採用したことが特徴だ。これは独自の研究による積層型のセラミック生成技術によるという。音質もかなりよく、ワイドレンジで透明感が高くとても解像力が細かいのが印象的だった。
トップウイングのブースには、AROMA「ACE」というハイエンドイヤホンが参考展示されていた。これは価格がなんと約62万円ほどになるという「超」ハイエンドイヤフォンだ。製品の情報は多くないが、中国語カタログから推測するに、片側12個のドライバー採用で4Wayのクロスオーバーを持つようだ。
4基が超低域、4基が中低域、2基が高域、2基が超高域となっている。特徴としてはイヤホンに設けられた小さな2つのスイッチの組み合わせで音の個性を変えることができる点。例えば初期値はバランスのとれた設定で、その他にはヴォーカルモード、低域モード、高域モードの設定ができる。音は高域も低域もよく出てワイドレンジ感が高く、音が分厚いのが特徴的だ。ヴォーカルモードに切り替えると音がすっきりとして声が聞きやすくなる。
シンガーポールからアジアの良製品を発信している、Jaben Japanのブースでは1custom「universal」という新製品が展示されていた。これは分かりにくいが“1 custom”がブランド名で、そのユニバーサルモデル(カスタムではない)という意味だということだ。これもAROMA「ACE」のように音色をイヤフォン側面の小さなスイッチで切り替えることができる。この点はなにか流行のようなものがあるのかもしれない。
イヤーピースの試聴にひとだかり
イヤフオン関連のアクセサリーとしてはLizer Labの頭内定位(こもってしまう現象)を解消するというイヤピースが人気であった。試すことはできなかったが、耳にキャップをかぶせるようなユニークな形状をしている。
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