なんとなく、キャラメリゼ感。
これが太陽の写真といわれてもピンとこないんですが、よーく見ると爆発によるキノコ雲がたくさん連なっているようにも見えてきませんか。
実際、これは太陽の表面で高温のガスがわき上がってきている様子。ハワイのハレアカラ天文台に新設されたダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡が初めてとらえた高解像度写真です。
世界最大の太陽望遠鏡
地球に一番近いのに、太陽はいまだに謎が多い恒星です。太陽風がどうやって発生して、どう地球を取り巻く宇宙空間に影響しているのかはまだはっきりわかっていません。そこで、アメリカ国立科学財団が新設したのがダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡です。史上最高レベルの解像度を駆使して太陽の磁場をこれまでになく詳細にとらえる、というのがイノウエ太陽望遠鏡の目的のひとつ。
「地球の天気なら世界のどこにいてもかなりの精度で予測できますが、宇宙の天気となるとまだそこまで予測できないのが現状です」とプレスリリースで語っているのはイノウエ太陽望遠鏡の管理を任されている全米天文学大学連合の代表・Matt Mountainさん。イノウエ太陽望遠鏡がその現状を変えてくれると期待がかかります。
望遠鏡の解像度は一般的にその大きさ(口径)に比例するんですが、イノウエ太陽望遠鏡は口径4メートルで、太陽望遠鏡としては世界最大。太陽光を集めすぎてオーバーヒートしないように高機能冷却システムが搭載されているほか、地球の大気圏内で生じるゆがみを補正する光学機能や、「ヒートストップ」と呼ばれる余剰の熱を逃がす装置も備わっているそうです。
今回の写真・映像の内容
今回初めて公開されたイノウエ太陽望遠鏡からの画像と映像からは、熱いガスが太陽のまわりを巡っているのが見て取れます。細胞のように見えるかたまりの中心からは熱されたプラズマが噴き出していて、温度が下がりながら黒い境界線のところで沈んでいく様子もわかります。
全米天文学大学連合のプレスリリースによれば、ひとつのかたまりの大きさはテキサス州と同じぐらいだそう。映像ではプラズマが噴き出しては沈んでいく様子を10分間とらえることに成功しています。
今後の調査、ハワイの望遠鏡問題
今回の映像と画像はまだ科学的な研究に使う前のテスト段階で、今後6か月さらに検査や調整を重ねていくそう。
そしてイノウエ太陽望遠鏡の準備が整い次第、太陽に接近中の探査機・パーカー・ソーラー・プローブと、欧州宇宙機関(ESA)が2020年2月5日にローンチする予定のソーラー・オービターと連携して、さらに太陽の謎に迫っていきます。
ところで、ハワイ列島にはいくつもの望遠鏡が設置されていますが、建設時に地元住民から反対された経緯も。イノウエ太陽望遠鏡が建設されたハレアカラも、もともとハワイに住んでいた人々にとっては聖なる場所なので建設中止を求める声も上がったそうです。
科学の推進か、郷土文化の尊重か。マウナケア山で建設中の30メートル望遠鏡も賛否両論あるそうで、こちらはイノウエ太陽望遠鏡よりもずっと大きいのでさらに難しい問題です。
Reference: Association of Universities for Research in Astronomy
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January 31, 2020 at 10:30AM
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