【ソウル=時吉達也】少子化が深刻な韓国で、安価に利用できる外国人ベビーシッター制度の導入の是非を巡る議論が活発化している。国会では査証(ビザ)発給職種の対象に追加し、最低賃金の適用対象からは除外する改正法案が発議された。韓国銀行の研究チームも5日、「国内労働者のみでは需要を満たせない」との報告書を発表した。
改正法案は昨年3月、海外勤務での育児に活用した経験がある趙廷訓(チョ・ジョンフン)議員を中心に発議された。趙氏は、外国人の活用を通じてベビーシッター費用を大幅に引き下げ「育児負担を軽減させる」と訴える。
これに対し、労働問題の専門家は「韓国人ベビーシッターの待遇悪化を招く」と指摘。保革双方の支持層からも「育児を外国人に任せるべきでない」「賃金差別は不要な社会対立を生む」と批判が出ている。
趙氏「女性のキャリア断絶食い止める」
産経新聞のインタビューに応じた趙廷訓議員は、外国人ベビーシッター制度について「女性のキャリア断絶を食い止める」ことができ、「少子化対策に有効」だと訴えた。主な一問一答は以下の通り。
--改正法案の狙いは
「韓国には出産・育児に伴いキャリアが断絶する女性が年間140万人に達しており、彼女らの家事負担を軽減することが少子化対策に有効だ。月給がそのままベビーシッター代となる現状を脱却し、理想は月100万ウォン(約11万円)まで費用を下げたい」
「世界銀行職員だった私と音楽教師の妻が海外で仕事を続けながら2人の娘を育てるのに、外国人の家事手伝いは不可欠だった。これまでの少子化対策が完全に失敗した状況で、新たなアプローチを提案した」
--外国人が少ない給与で物価の高いソウルに暮らし、本国に仕送りするのは困難だ
「フィリピンの議員らとも意見交換したが、最低賃金を下回る条件でも相当数の希望者がいる。東南アジアの従事者は地理的に近く英語圏の香港、シンガポール勤務を希望するが、次の選択肢となる中東での勤務には抵抗がある。韓国はここに割って入りたい」
「郊外に大学寄宿舎のような住居を月30~40万ウォンで用意すれば、生活は成り立つ。韓国の住宅は狭く住み込みは困難だが、勤務時間外は主人に気兼ねなく生活できれば、むしろ働き手にとってもうれしいことだ」
「契約終えれば帰ってもらう」
--外国人家政婦を受け入れる香港、シンガポールでも出生率は向上していない
「香港では制度導入後、女性の経済活動参加が10~14%増えた。出生率に寄与するかは各国の事情もあるが、韓国で現状の半分でもキャリアの断絶を食い止められれば、相当の効果が期待できる」
--不法在留外国人の増加につながらないか
「移民と外国人労働者の区別を明確にし、契約期間を終えれば本国に帰ってもらう。韓国は日本に比べ不法滞在が圧倒的に多いが、防犯カメラが街中に整備された社会環境などを活用し、管理を強化する」
--労働問題の専門家や世論の反発も大きい
「制度に魅力がなければ外国人労働者は来ず、韓国人夫婦も利用しない、それだけだ。まずは5~10万人規模の社会実験をやり、問題点を洗い出すべきだ」
--日本の外国人労働者の受け入れをどう見る
「日本は介護、看護分野で外国人労働者の受け入れが着実に進む。韓国がベビーシッターの受け入れで先行すれば、互いの状況を学びあえる。日本の役人からは『日本が人材開拓を進めるベトナムには手を出さないでくれ』と冗談交じりに言われたこともあるが、日韓は外国人労働者問題ではライバルであると同時に、協力もできる関係だ」
(聞き手 時吉達也)
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