携帯大手各社の上期決算が出そろった。「官製値下げ」の影響が薄れ、主戦場が通信と金融の融合サービスに移りつつある。特にKDDIとソフトバンクは出足が好調だが、実は異なる戦略で顧客獲得を進めている。勝利の女神はどちらにほほ笑むのか。
「通信と金融をどう融合させていくかが今後の注目ポイント。各社で戦略が違うが、オープンな金融サービスを通信に融合させていく動きが出てきている。(最初からその路線を進めている)我々の選択は間違っていなかった」
KDDIの髙橋誠社長は11月2日、第2四半期(2023年7~9月)の決算会見でこう述べた。
第2四半期の決算について話すKDDIの髙橋誠社長(写真:KDDI)
NTTドコモとKDDI、ソフトバンク、楽天グループという携帯大手各社の23年4~9月期の決算が出そろった。NTTドコモとKDDI、ソフトバンクは、菅政権が進めた携帯料金の引き下げ圧力によって、主力の通信事業の減収に苦しめられてきたが、約2年を経て各社とも回復傾向にある。シティグループ証券の鶴尾充伸アナリストは「携帯大手は値下げのダメージがほぼ抜けた」と分析する。
KDDIは、官製値下げにより減少傾向にあったモバイル通信料収入が、ついに前年同期比でプラスに反転した。モバイル通信料収入は、携帯電話事業者にとってメインの収入源で、1契約当たりの月間平均収入(ARPU)と契約数の掛け算で表される。
ソフトバンクは、一般消費者向け通信事業(コンシューマー事業)単独では減収減益が続く。ただ売上高と営業利益はどちらも減少幅が縮小しており、24年3月期全体で見ると、コンシューマー事業も増益になる見通しだ。NTTドコモも減少傾向にあったARPUは底を打ち始めており、それに合わせてモバイル通信料収入が下げ止まりつつある。
KDDIとソフトバンク、NTTドコモにおけるモバイル通信料収入の前年同期比の推移。KDDIは「マルチブランド通信ARPU収入」、ソフトバンクは「モバイル売上高」、NTTドコモは「モバイル通信ARPU」を参照して作成した
NTTドコモのARPUとモバイル通信料収入の推移
通信で稼ぐ力を取り戻しつつある携帯各社。今、各社の競争軸となりつつあるのが、通信と金融の融合サービスだ。
戦いの火蓋を切ったのが、KDDIが9月に開始した「auマネ活プラン」だ。プラン加入者はデータ容量無制限の通信サービスに加えて、同社のクレジットカード還元率アップや同社の銀行口座の預金金利優待といった特典がつく。ソフトバンクはKDDIに追随して10月、プラン加入者はスマートフォン決済「PayPay」の還元率がアップする新料金プラン「ペイトク」を開始した。
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