Gaston Ernesto Gonzalez AvilaGetty Images
最近のTikTokでは、飲むと体重が減るという小さな黄色いサプリメント「ベルベリン」が大注目を浴びている。
ベルベリンは植物性の化合物。カプセルかパウダーの形で売られており、“天然のオゼンピック”(糖尿病の治療薬)としてもてはやされるようになった。SNSでは何百万人ものユーザーが、嘘か真か、オゼンピックのように“不要な体重を溶かす”ベルベリンの能力を絶賛している。
現に関連ハッシュタグの#berberine(ベルベリン)は6900万ビュー、#berberinesupplement(ベルベリンサプリメント)は2300万ビュー、#naturesozempic(天然のオゼンピック)は550万ビュー、#berberineforweightloss(ベルベリンでダイエット)は390万ビューを獲得している。
その理由? ベルベリンは減量に使われる高額なセマグルチド処方薬(オゼンピック、ウゴービ、リベルサスなど)の安価な代替品として、米国中のドラッグストアで売られている。米国では、このようなセマグルチド処方薬が1ヶ月分で約900ドル(13万円)するという。処方薬に踏み切れない人からすれば、ベルベリンが天然成分であることも手を出しやすい理由の1つ。
最近のネット上にはペテン師が多いので、この情報も真偽を確かめるまでは信じられない。果たして、ベルベリンの潜在的なメリットと作用とは? ベルベリンが本当に“天然のオゼンピック”であることを示す確実な証拠はあるのだろうか? 専門家が教えてくれた。アメリカ版ウィメンズヘルスから詳しくみていこう。
ベルベリンとは?
統合医学専門医のラヒ・サルバズィハ医学博士によると、ベルベリンはメギ、ヒドラスチス、オレゴングレープなどの植物に含まれるアルカロイド(有機化合物)の一種。認知度が高まったのは2023年に入ってから。でも、健康上のメリットが多いと言われていたベルベリンは、何世紀も前から伝統的なアーユルヴェーダ医学や中学医学で用いられていた。
ベルベリンは、さまざまな国や地域の料理にも使われる。サルバズィハ医師いわく、ベルベリンを含むうえに苦味・酸味・辛みが揃っていることで重宝されるメギの果実は、ペルシャの米料理に欠かせない調味料。
しかも、このベルベリンは世界の食卓だけでなく私たちの体内でも大活躍するという。
ベルベリンの健康効果は?
ベルベリンは、高コレステロール血症、2型糖尿病、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、肥満の管理に役立つと言われている。また、これまでの研究からベルベリンは、このような疾患に関連して起こる循環器系の問題にも有効とされている。
このような効果が本当にあるとすれば素晴らしい。でも、世間がいま一番知りたいのは、ベルベリンのサプリメントでオゼンピックと同じように体重が減るかどうか。ベルベリンは、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)というタンパク質に作用することで効果を発揮する。AMPKはインスリン受容体の活性化、ひいては血糖値に関係する酵素。「ベルベリンはAMPKを活性化することで代謝を促し、体重の減少をもたらす可能性があります」とサルバズィハ医師。
サルバズィハ医師とペインマネジメントセンターNuvo Spine & Sports Institute & Ortho Regenerative Centerのパヤム・ヴァヘディファー医師によると、ベルベリンの具体的な作用としては、インスリン感受性の改善、肝臓におけるグルコース産生の抑制、細胞によるグルコース取り組みの促進が考えられる(それを示唆する論文も存在する)。「そうすると血糖値が調節されやすくなるため、糖尿病やインスリン抵抗性がある人にとっては有益かもしれません」とサルバズィハ医師。
また、ベルベリンには脂質低下作用があり、それが心臓の健康によい影響を及ぼす可能性もある。ヒトとラットの両方を対象に行われた2012年の小規模な実験では、ベルベリンによってLDLコレステロール値が下がり、中性脂肪が減る可能性も指摘された(この実験では肥満の人の中性脂肪が平均2.3kg減った)。
ヴァヘディファー医師によると、大規模なランダム化試験は一度も実施されていない。でも、ベルベリンのランダム化臨床試験に関する2021年のメタ分析結果は、ベルベリンによってLDLコレステロール値と中性脂肪が改善することを裏付けているだけでなく、HDLコレステロール値が高くなる可能性も示している。「ベルベリンで脂質プロファイルが改善されると、循環器系の健康全般も改善する可能性があります」とサルバズィハ医師。
ベルベリンで体重は減る?
いまのところ、この答えは“はい”というより“もしかしたら”に近い状態。
サルバズィハ医師も「ベルベリンで代謝が上がり、体重が減る可能性はあります」と断定を避けている。キーワードは“可能性”。
ベルベリンが体によさそうな特性を有しているのは確かでも、動物ではなくヒトを対象とした大規模かつ長期的な臨床試験が行われていない現時点で、それが減量に効果的と言い切ることはできない。
その一方で、オゼンピック(米国では食品医薬品局が2型糖尿病の治療薬として承認しており、保険適用外であれば減量目的でも処方可能)とウゴービ(減量目的の処方を米国食品医薬品局が承認済み)に関しては有望な研究結果が多く、患者にも著しい体重減少が見られている。一般的に、セマグルチド処方薬を数ヶ月使用すれば、体重が約15%減る。
ベルベリンのサプリメントは安全?
サルバズィハ医師によると、適量である限り、ベルベリンのサプリメントはほとんどの人にとって安全。でも、サプリメントに対する体の反応は人それぞれで、副作用が出ることや他の薬と相性が悪いこともある。
ベルベリンのサプリメントには副作用が少ないけれど、サルバズィハ医師の話では、ガス、膨満感、下痢、便秘、胃もたれが生じる可能性もなくはない。
米国食品医薬品局はサプリメントを厳しく取り締まっていない(サプリメントは処方薬と同じ検査や規制の対象にならない)ため、サプリメントの出所には注意が必要。ベルベリンの製造方法や用量は誰にも管理されておらず、既存の論文が勧める用量も1日500~1500mgと幅広い。だから胃腸クリニックGut Theory Total Digestive Careで非外科的内視鏡肥満治療と医療ダイエットを専門とする胃腸科医ジャニース・ラスター医学博士も「患者がなにを、どのくらい摂取しているのか把握するのが大変です」と頭を悩ます。
サプリメントの選び方は非常に重要。まずはヘルスケアの専門家に適切な用量を聞き、第三者機関の検査を通過した商品を探すこと。
サルバズィハ医師によると、現在服用中の薬や健康上の問題がある人は、ベルベリンを飲む前に必ず医師に相談するべき。薬の相互作用や既存の症状の悪化は絶対に避けねばならない。
また、ベルベリンの摂取によって新生児黄疸、胎児奇形、早産が起こる可能性を指摘する文献も存在するので、「妊娠中はベルベリンの摂取を控えたほうがいいでしょう」とサルバズィハ医師。
結論として、ベルベリンは本当に“天然のオゼンピック”?
減量ツールの1つとして見ることも不可能ではないけれど、ベルベリンのサプリメントは健康的な食生活や運動、その他生活習慣の改善に取って代わるものではない。
TikTokのユーザーがなにと言おうと、ベルベリンのサプリメントと処方薬のオゼンピックの作用は同じ“じゃない”ので、オゼンピックを飲んだときと同じ結果を期待するのは間違い。オゼンピックは神経系に作用して満腹感を高め、食欲を抑制し、胃内容排出を遅らせて、インスリン抵抗性を改善する処方薬。でも、ベルベリンはそうじゃない。
サルバズィハ医師いわく「ベルベリンの効果はオゼンピックの足元にも及びません」。そして、ラスター医師に言わせれば「ベルベリンとオゼンピックは完全に別物です」
よって、ベルベリンが単体でダイエットの特効薬になる可能性は極めて低い。「私の患者にも『サプリメントを飲むだけで本当に体重が減るのなら、いま頃みんなに飲ませているはずですよ!』と言っています」とラスター医師。「ダイエットには種も仕掛けもありません」
※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text: Danielle Blundell Translation: Ai Igamoto
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