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アングルウクライナで民間の軍事技術開発が活況国が支援 - ロイター (Reuters Japan)

[キーウ 5日 ロイター] - 今年6月末、ウクライナの首都キーウ市街地の地下室に何百人ものエンジニアや技術開発者が集まった。彼らは軍高官らと顔を合わせ、同国の都市に打撃を与え続けているロシアの安価な「自爆ドローン」を無力化する方法について、知恵を出し合っていた。

 ウクライナではロシアとの軍事技術競争の中、国営ベンチャーキャピタルの資金援助を受けた民間での技術開発が活況を呈している。写真右は、電子戦技術を開発する企業に勤めるアナトリー・クラプチンスキー氏が対ドローン銃の演習を行う光景。6月30日、ウクライナの非公開の場所で撮影(2023年 ロイター/Alina Smutko)

<ロイター記者が見た現場>

この会合は、ウクライナとロシアの軍事技術競争を間近で垣間見られる貴重な機会だった。ウクライナでは、国営ベンチャーキャピタルの資金援助を受けた民間の技術開発が活況を呈している。

会合に出席したウクライナのフェドロフ副首相兼デジタル転換相は「現在の戦争は技術を巡るものだ。技術革新や戦場での変化は、日々起きている」と語った。

ロイターは、メディアとして唯一、この会合に招かれた。そこでは陸軍高官や閣僚が、エンジニアや「技術オタク」らと交流。短パンに野球帽という出で立ちで、大きなドローンを小脇に抱えた男性もいた。

ロシアは今回の戦争で、群れを成して標的まで巡航し、着弾と同時に爆発するイラン製ドローン「シャへド」を活用している。

ウクライナの会合では、シャヘドに対抗する最高のドローンや電子戦技術を発表した3つの専門家チームに、賞金として合計300万ドルが送られた。

ロシアは今年5月、ウクライナを過去最多となる300機以上のドローンで攻撃したことが、公式データで明らかになっている。ロシアは昨冬、空爆による送電網の破壊を試みているだけに、今年の冬に向けてエネルギー供給網を守ることが技術開発者らの課題だ。

ウクライナのクブラコフ副首相兼インフラ相は「次の冬にこうした課題に対応できるよう備えたい」と語った。

イランのドローンは、防空網による探知を回避できるほど低空を飛行する。そのナビゲーションシステムは、対ドローン電子戦兵器で撃墜するのが困難なほど強固だ。

西側諸国はミサイル攻撃に対抗するために高度な防空システムを供給しているが、1機5万ドルのドローンの大群を100万ドルのミサイルで撃ち落とすのは理想的ではない、と当局者は言う。

フェドロフ氏は「採算が合わないため、シャヘドを破壊する機器のコストをカットし続ける必要がある」と語った。「音響その他の手段を使った(ドローンの)探知や、実際の破壊について話し合っている」という。

会合参加者の1人であるオレクサンドル氏は、自身のチームがプロペラに加えて翼を持つ「クアドロコプター」を発表したと明かした。他のドローンよりもはるかに速く、長く飛ぶことができるという。

「ドローンを迎撃したり、追いついたり、撃墜したり、妨害したりするために垂直に離陸するドローンだ」と同氏は説明した。

別の参加者のユリー氏は、エンジニアで会社副社長。自身のチームは、シャヘドに対して従来より有効な、新しい対ドローン電子戦システムの設計を発表したと述べた。

<ドローンの戦争>

ドローンはこれまでもイエメン、シリア、ナゴルノ・カラバフの戦争で広く使われてきた。だが、当局者によると、ウクライナでの使用規模は過去最大に上る。

「本当に前例のないドローン戦争だ」とフェドロフは言い、ロシアの侵攻以来、ウクライナの軍事技術革新が花開いたと付け加えた。

ウクライナは昨年、「ドローンの軍隊」の創設を目的としたクラウドファンディング・プロジェクトを立ち上げ、無人航空機の製造からドローンパイロットの訓練までを網羅する国家計画に発展させた。

「本格的な侵攻が始まってから数カ月後、偵察して敵を倒すのに最も有効なのは無人航空機だ、と誰もが気づいた」とユリイ・シュチホル准将は言う。

機器調達を監督するシュチホル氏は、これまでにドローン1万5000機を購入したと述べた。国防省経由で今後さらに多くのドローンを調達する予定で、外国の援助やボランティアによる供給もあるという。

ウクライナが戦場で使用したドローンの総数は不明だ。

「今年の目標は、20万機以上の攻撃用ドローンと大型偵察用ドローンを購入することだ。市場でありったけのドローンを購入するつもりだ」とシュチホルは語った。

フェドロフ氏は、ロシアによる空爆の脅威がある中でも、ウクライナ全土でドローンの製造が行われていると述べた。製造業者には作業の場所を分散させ、製造工程の一部に防空壕を使用するよう指示したという。

「このやり方が功を奏して全ての製造業者が作業を続けており、ミサイルによって打撃を被ってはいない。爆撃されることはあるが、大した規模ではない」と語った。

調達したドローンの80%以上はウクライナ製で、国内で組み立てられているとフェドロフ氏は説明した。

電子戦技術を開発する企業に勤めるアナトリー・クラプチンスキー氏は、技術革新に対するアプローチが、ウクライナとロシアでは対照的だと語る。

ロシアはトップダウンで、国家組織が支配しているのに対し、ウクライナは民間セクターが主導し、多くの中小企業が関与しているという。

フェドロフ氏は「昨年このプロジェクトを始めたとき、ドローンを国家に販売できる企業は7社だった。現在では40社で、年末までには50社になるだろう」と述べた。

同氏によると、国のベンチャーキャピタルが国内生産の拡大に役立っている。また、ウクライナは外国のパートナーと技術を共有でき、制裁を心配する必要がないため、ロシアよりも優位に立っているという。

「(国営ベンチャーキャピタルの)資金のおかげで、企業は生産を現地化し始めている。現在、中国を含む世界中から部品を購入しているのは事実だが、現地化は徐々に進んでいる」とフェドロフ氏は語った。

(Tom Balmforth記者)

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