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OpenAI、安価な新APIで事業拡大へ? その先の野望とは - GIZMODO JAPAN

ますますあちこちに出没の予感。

OpenAIが、ChatGPTをAPI化したものを公開しました。今までもOpenAIは文章生成APIを公開してたんですが、システム最適化により、旧APIに比べて大幅なコスト削減もできたそうです。

Slack、Snapなどがすでに新APIを使ったアプリを発表していて、ChatGPTが今まで以上にいろんな形で浸透していきそうです。

OpenAIがリリースしたのはgpt-3.5-turboというモデルを使ったAPIで、前回リリースされたGPT-3 LLMモデルを使ったAPIの約10分の1という料金設定です。内部のモデルは随時更新され、4月には新たな安定版がリリース予定です。またOpenAIは、音声からの文字書き起こし・翻訳を可能にするWhisperモデルの第2弾APIも同時にリリースしています。

各デベロッパーはOpenAIのAPIを使うことで、いろんなアプリの「AI搭載バージョン」的なものが作れます。作れるだけじゃなくて、それで対価を得ることも可能です。例えばSnapも、このChatGPT APIを使って「My AI」というチャットボットをSnapchatアプリに追加し、月3.99ドル(約550円)払ってるユーザー向けに提供開始しました。

プライバシーにも配慮

こうして利用が広がってくると、チャットに打ち込んだデータはどうなるの?と心配になりますよね。OpenAIもそんな声を受け取ったみたいで、サム・アルトマンCEOがツイートで説明しています。

OpenAI APIに送信されたデータは、学習には使われません。私たちは新たに30日のデータ保持ポリシーを設けましたが、もっと短期間でもケースバイケースで応じます。

ローンチ前レビューも廃止して、サービス利用規約と利用ポリシーをよりデベロッパーフレンドリーにしました。

OpenAIのAPI利用規約のページには、OpenAIが3月1日以前に受信したデータに関しては「ユーザーが事前にデータ共有からオプトアウトしない限り、サービス改善のために使われた可能性がある」とあります。

OpenAIはAPIの「悪用・不正利用」を特定するためデータを30日間保持し、OpenAIとその下請事業者がそのデータにアクセス可能です。ただしAPI経由じゃなく、チャットボットとしてChatGPTにアクセスする場合は、ユーザーのデータは学習に使われ続けるみたいなんですが、抵抗ある人はフォームで申請すればオプトアウト可能とのこと。

「私たちは、AIがすべての人に対し、素晴らしい機会と経済的エンパワーメントをもたらすと信じています。そしてそれを実現する最良の方法は、すべての人に対してAIを使ってものを作ることを許すことです」と、ChatGPT API発表のポストにはあります。

3カ月で一気にメジャーに

ChatGPTは去年11月のリリースから急速にユーザーを集め、今年1月までには1億ユーザーを突破しました。インターネットアクセス計測のSimilarwebによれば、ChatGPT(chat.openai.com)のトラフィックは右肩上がりで、今やBing全体(bing.com)よりもトラフィックが多い(!)日もあるみたいです。

でも、Bingにも2月7日からChatGPTが内蔵されたとはいえ、現時点ではBingチャットは限られた人しか使えていません。Windows 11のタスクバーにもBingチャットが入ったし、Bingチャットユーザー拡大と共に、Bing全体のユーザーも増えていくのかもしれません。

ともあれOpenAIは、今やAI開発の主要プレイヤーになってしまいました。でも、彼ら自身は、自分たちがまだ小さなスタートアップだという意識を持っているようです。ChatGPTは去年11月にギリギリの状態でリリースしたんだと中の人も認めていました。OpenAIのアルトマンCEOも去年12月、「ChatGPTは信じられないほど制約がある」とツイートしてました。

ChatGPTほど大規模で複雑な技術は、3カ月くらいじゃ大きく変化できないはずです。アルトマン氏は最近「ChatGPTには野心的なロードマップがあり、エンジニアリングがネックになっている」とツイートし、開発者を募集してました。おそらく課題はまだ多いのだけど、APIで広く薄く稼げるようになってくれば、長期的にも成長していけるのでしょう、きっと。

汎用人工知能(AGI)の野望

で、その「野心的なロードマップ」はどこに通じてるんでしょうか? アルトマン氏の野望はChatGPTに留まらず、「真の人工知能」を作りたいようです。

アルトマン氏は今年2月、ブログの中で、真の汎用人工知能(AGI)を作り「人間の創意や創造性を強力に増殖させたい」と語りました。もちろんAGIはまだSFの世界にしかありませんが、もし実際に生み出せたら、社会への破壊的影響を抑えるために「スローな」ロールアウトを、と言ってます。

でも、専門家はアルトマン氏の発言にすぐ反応しました。ワシントン大学で計算言語学を専門とするエミリー・ベンダー教授は、アルトマン氏は機械学習を「魔法」であるかのように扱っていると強く批判しました。

冒頭からぞっとします。彼らは自分たちが「AGI」の開発・形成に携わっているつもりなんです。そして、自分たちが「全人類のベネフィット」を判断する立ち位置にいるのだと。

さらにアルトマン氏は、読者にAGIが文字通り魔法であるかのように(「もしうまく作りだせたなら」と)思わせています。また、すでに豊かな状態だとしたら、「経済をターボチャージ」とはどういう意味でしょう? スーパーリッチがもっと儲かる、のでしょう。

FTC(米連邦取引委員会)のブログでも、広告でのメッセージングの観点から、AI搭載を謳う製品についてこう牽制しています。

何かが間違ったら--失敗するか、バイアスのかかった結果を出すかしたら--その技術のサードパーティ開発者のせいにするだけでは済みません。あなた自身にも、責任がないとは言えません、なぜならその技術は、あなたが理解できない、またはテスト方法を知らない「ブラックボックス」だからです。

ChatGPTの中身もブラックボックスだし、これからみんなが仕組みをより深く理解していくのかどうかもわかりません。AGIの夢をOpenAIが実現するのか、そもそも誰かがAGIを作り出せるのか、AGIで「何かが間違ったとき」に誰が責任を取るのか、全部不明なままです。

でも、確実に言えるのは、政府がちょっと釘を刺したって、生成AIの勢いはまだまだ止まらなさそうってことくらいです。

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