
およそ半世紀にわたり、マージャン
1954年の創業時は、樹脂から洋服のボタンや人工真珠を作っていた。服飾品が売れた戦後の復興期。しばらくは順調だったが、次第に安価な海外製品に押されるようになり、60年代前半にマージャン牌の製造に乗り出した。
当時、牌の素材は象牙や竹が一般的だった。自然素材なだけにゆがみや傷が付きやすく、対局中に手を読まれてしまう欠点があった。樹脂の加工技術や着色技術を生かせば、安価に均一な牌を生産できると考えた。
数年かけて色違いの上下2枚をプレスした「オール樹脂」の牌を開発。傷が付きにくく、手触りの良い牌は評判を呼び、マージャンブームにも乗って国内でシェア(市場占有率)1位に躍り出た。75年に自動成形技術を確立し、量産体制が整うと、最盛期には年間70万セットを売り上げるヒットを記録した。
80年代には、全自動式のマージャン卓の製造を始めた。「すでに普及から10年近くたっていた」(松山弘樹・経営企画部長)が、他社製品は金属製で重く、納品だけでも手間がかかっていた。樹脂を使うことで軽量化と低価格を実現し、後発ながらもシェアの獲得に成功した。
だが、マージャンブームは長くは続かない。テレビゲームが台頭し、バブル経済が崩壊すると、売り上げは落ち続けた。「このままでは危ない」。新規事業の開拓が急務となる中で目をつけたのが、ペットボトルのリサイクル事業だった。
ボトルを細かく砕き、廃タイヤ片やゴムチップと一緒に固めて作った道路の舗装材を2003年に発売。コンクリートよりも軽くて水はけがよく、弾力性があるため、遊歩道などで使われた。松山部長は「環境に配慮した商品は今の時代のニーズにマッチしている。まだマージャン関連の売り上げには及ばないが、将来的にさらに伸びる可能性がある」と胸を張る。
近年は「脳トレ」への関心が高まり、健康的で知的な競技としてマージャンが再び注目を集めている。2018年には、トップ選手が集うプロリーグ「Mリーグ」が開幕。コロナ禍の巣ごもり需要も追い風となり、牌の売り上げはコロナ前の2倍近くに伸びた。
御坊市のホームページでは、フルーツや海の幸と並んでマージャン牌が特産品として紹介されている。県内の小中学校や事業所で集めたペットボトルを回収するなど、地域密着で事業を続けている。
社内には、マージャン好きが高じて入社した茨城県出身の若手社員もいる。松山部長は「これからもマージャンを通じて県や市の魅力を発信し、地域とともに成長していきたい」と力を込めた。(北谷圭)
<企業MEMO>
マージャン関連商品で国内最大手。ペットボトルのリサイクル事業のほか、発光ダイオード(LED)照明、自動車部品の製造なども手がける。資本金は6300万円。グループ全体の2021年度の売上高は約57億円で、従業員数は約150人。
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