(ブルームバーグ): ソフトバンクグループは株式非公開化について、創業者の孫正義氏の持ち分が他の株主を締め出すことができる程度に大きくなるまで少しずつ発行済み株式を買い戻すという新たな戦略を協議している。事情に詳しい関係者が明らかにした。
このアプローチには1年余りかかる公算が大きく、その間ソフトバンクGが自社株買い戻しの原資を確保するために資産売却を続けることを意味すると、関係者が計画は非公開だとして匿名を条件に述べた。孫氏自身はソフトバンクG株を買い増さないが、他の株主が買い戻しに応じることによって現在27%前後の孫氏の保有比率は上昇していく。日本の規則では持ち分が66%に達すると、他の株主から未保有株を買い取る権利が発生し、恐らくプレミアムを支払わずに済むと、関係者が説明した。
「スローモーション」あるいは「スローバーン」バイアウトと社内で呼ばれるこの計画の利点の1つは、ソフトバンクGが株価下落時を選んで柔軟に買い戻すことができる点だと関係者は話す。正式なバイアウトであれば、市場価格に25%程度の上乗せが必要になる可能性が高い。また、ソフトバンクG株は保有資産額に照らして低い価格での取引が続いているため、株主は買い戻しを歓迎する公算が大きい。
ソフトバンクGの株価は「スローモーション」MBOでの非公開化協議に関する報道後、一時6.7%高の7568円まで買われ、9月14日(11%高)以来の日中上昇率を記録した。
孫氏は今年2月にも、ソフトバンクは公開企業である方がよいと思うと発言している。最近には、ブルームバーグ・ニュースなどがバイアウトの可能性を報じた後に自身の計画に関するコメントを控えた。
11月にはソフトバンクGの「株価が下がればもっと積極的に買い戻す」と会議で発言した。ソフトバンクGはこの記事を巡ってコメントを控えている。
孫氏は少なくともここ5年間、株式非公開化のアイデアを折に触れて論じてきた。3月に新型コロナウイルス感染拡大に伴い株価が急落した時にはエリオット・マネジメントやアブダビ政府系ファンドのムバダラ・インベストメントを含むアドバイザーおよび銀行と協議を開始した。
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