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写真でたどる「はやぶさ2」52億kmの旅路。12月6日、ついに地球帰還へ【写真25枚】 - Business Insider Japan

はやぶさ2のイラスト

地球を出発した、はやぶさ2のイメージイラスト。

イラスト:池下章裕

「私たちは、太陽系の歴史を手に入れることができました」

これは、2019年7月、JAXAの小惑星探査機「はやぶさ2」が、小惑星「リュウグウ」への2度目の着陸に成功した直後の会見で、JAXAの津田雄一プロジェクトマネージャが語った言葉だ。

2020年12月6日、はやぶさ2が、総移動距離約52億4000万kmの旅を経て、いよいよ小惑星「リュウグウ」で採取した試料(サンプル)を地球へと届けようとしている。

打ち上げから6年の旅路

管制室

小惑星「リュウグウ」から離脱するコマンドを確認した瞬間の管制室。

出典:ISAS/JAXA

はやぶさ2は、2010年に小惑星「イトカワ」からのサンプルリターンに成功した「はやぶさ」の後継機にあたる。

はやぶさ2の目的地である小惑星「リュウグウ」は、有機物などを多く含む「C型」と呼ばれる小惑星だ。

そのため、リュウグウからサンプルを持ち帰ることができれば、太陽系が誕生した当時の様子を知る手掛かりを得ることはもちろん、地球上に存在する海水や生命の起源を探ることにもつながると考えられている。

はやぶさ2は、2019年2月に1度目のリュウグウへの着陸・サンプルの採取を実施。

さらに同年4月には、小惑星に人工的にクレーターを作るための「衝突装置」の運用にも挑戦し、実際にリュウグウに人工クレーターを作り出した。その後、7月には、クレーターを生成した際に周囲に飛び散った、太陽光などの影響による劣化が少ない「きれいな」サンプルの採取にも成功している。

はやぶさ2では、機体の設計はもちろん、プロジェクトの運用方針についても多くのトラブルに見舞われたはやぶさでの教訓を活かしてきた。その甲斐もあり、はやぶさ2はこれまで大きなトラブルには見舞われず、探査計画の大半をほぼ完璧に遂行してきた。

はやぶさ2が採取したサンプルが入っているカプセルは、12月5日にはやぶさ2から分離され、翌6日早朝にオーストラリアのウーメラ砂漠に着陸する予定だ。既に現地では、JAXAのカプセル回収チームが、カプセルの到着を待ち構えている

いよいよ帰還の時を迎えるその前に、2014年12月に打ち上げられてからちょうど6年にわたるはやぶさ2の旅路を、写真とともに振り返りたい。

2010年6月、小惑星探査機「はやぶさ」は7年間、総移動距離約50億kmの旅を終え、イトカワのサンプルを地球に持ち帰って来た。このとき、すでにはやぶさ2のプロジェクトは検討が始まっていた。

はやぶさ本体

はやぶさ本体は大気圏に再突入すると燃え尽きて流れ星のように見えた。

出典:JAXA/台湾國立中央大學

2012年1月に、はやぶさ2の開発がスタートした。

開発中のはやぶさ2

開発中のはやぶさ2。2012年12月26日に撮影。

出典:JAXA

2013年10月には、はやぶさ2に新たに搭載する衝突装置の試験が行われた。

小型衝突装置の試験の様子

衝突装置の試験の様子。2013年10月14日に撮影。

出典:JAXA/日本工機

2014年9月、完成したはやぶさ2は、JAXA相模原キャンパスから、打ち上げが行われる種子島へと輸送された。

完成したはやぶさ2

種子島に運ばれたはやぶさ2。2014年10月27日に撮影。

出典:JAXA

JAXA相模原キャンパス

JAXA相模原キャンパスから、はやぶさ2が運び出される様子。2014年9月20日に撮影。

出典:JAXA

H-ⅡAロケットに搭載され、最後の微調整をしながら打ち上げの日を待った。

ロケットとの結合

はやぶさ2がロケットに結合される様子。2014年11月13日に撮影。

出典:JAXA

2014年12月3日、はやぶさ2はH-ⅡAロケットで宇宙へと打ち上げられた。

打ち上げ

はやぶさ2を搭載したH-ⅡAロケット26号機の打ち上げの様子。

出典:JAXA

2014年12月5日、はやぶさ2は無事にロケットから分離し、太陽光パネルを展開。長い旅路が始まった。

はやぶさ2のイラスト

地球を出発した、はやぶさ2のイメージイラスト。

イラスト:池下章裕

2015年10月、はやぶさ2の目的地である小惑星1999 JU3が「Ryugu」と名付けられた。

リュウグウとイトカワの軌道

リュウグウとイトカワの軌道。

出典:JAXA

打ち上げから1年が経った2015年12月3日、地球に接近し、引力を利用して軌道制御や加速を行う「地球スイングバイ」を実施した。

はやぶさ2が撮影した地球

はやぶさ2が撮影した地球。2015年12月4日に撮影。

出典:JAXA、東大など

2018年2月、はやぶさ2が小惑星リュウグウの撮影に成功。徐々にリュウグウの姿が明らかになっていった。

リュウグウ

はやぶさ2が130万km離れた地点からとらえたリュウグウ。2018年2月26日に撮影。

出典:JAXA、東京大学

2018年6月、はやぶさ2は地球からリュウグウに到着した。リュウグウは炭素を多く含むC型小惑星に分類されており、地球の生命の起源を探るヒントが眠っていると考えられている。

リュウグウ2

20km地点からはやぶさ2がとらえたリュウグウ。2018年6月26日に撮影。

出典:JAXA、東大など参考

リュウグウに到着後、はやぶさ2は今後のミッションのために小天体の地形などを探る作業をスタートさせた。はやぶさ2の影がうつるまで地表に近づいたことも。

リュウグウ3

2018年9月21日に高度70mから撮影されたリュウグウとはやぶさ2の影。

出典:JAXA

2018年9月以降、リュウグウに複数のロボットを投下することに成功。リュウグウの表面は、岩塊で覆われており、小さな凸凹がたくさんあった。

リュウグウの表面

小型ローバー『MINERVA-Ⅱ1 Rover-1B』がとらえたリュウグウの表面。2018年9月23日に撮影。

出典:JAXA

当初、1度目のタッチダウンは、2018年10月に実施する予定だった。しかし、想定以上にリュウグウの表面が凸凹していたこともあり、安全を期して年明けに延期となった。

打ち合わせ

管制室で行われた、タッチダウンに向けた打合せの様子。2018年9月11日に撮影。

出典:ISAS、JAXA

2019年2月22日、はやぶさ2は1度目のタッチダウンに見事成功。機体とほぼ同じ大きさの場所に着陸するという離れ業をやってのけた。タッチダウンした地点は後に、「たまてばこ」と名付けられた。

リュウグウの表面2

着陸直前に小型モニタカメラで撮影されたリュウグウの表面とはやぶさ2の影。

出典:JAXA

2019年4月、小惑星に人工的にクレータを生成することに成功した。

衝突装置の分離

衝突装置を分離した際のイメージ。

イラスト:池下章裕

クレーター

衝突によって生成されたクレーター。

出典:JAXA、東大など

2019年7月11日、人工クレーターから20m離れた地点へ2度目のタッチダウンが行われた。クレーターができた時に飛び散ったリュウグウの地下の土を採取できたと考えられている。

タッチダウン地点

タッチダウンした地点は、大きな科学的成果が生まれることを期待して「うちでのこづち」と名付けられた。

出典: JAXA、東大など

2019年9月、2つのターゲットマーカを分離し、リュウグウの「衛星」にすることに成功した。探査機から分離した物体を小惑星の「衛星」にするのは、史上初のこと。

ターゲットマーカーの連続撮影

分離したターゲットマーカを連続撮影し、重ね合わせたもの。2019年9月17日に撮影。

出典:JAXA、千葉工大、東京大、高知大、立教大、名古屋大、明治大、会津大、産総研

2019年10月、探査ロボット「MINERVA-Ⅱ2」を分離した。リュウグウのまわりをぐるっと1周してから着陸した。このとき、リュウグウの重力に関するデータを取得した。これがはやぶさ2がリュウグウで行った最後の仕事となった。

MINERBA-II2の連続写真

MINERVA-Ⅱ2を分離した直後の連続写真。2019年10月3日に撮影。

出典:JAXA、東北大・山形大・大阪大・東京電機大・東京理科大・九工大・千葉工大、産総研、立教大、東京大、高知大、名古屋大、明治大、会津大

2019年11月13日、ミッションを完了したはやぶさ2は帰路へ。リュウグウを離脱するコマンドが確認されると、管制室では拍手が沸き起こった。

管制室

リュウグウから離脱するコマンドを確認した瞬間の管制室。

出典:ISAS/JAXA

天の川

帰り道の途中、望遠光学航法カメラの健全性確認のため撮影された天の川。2020年4月23日に撮影。

出典:JAXA、産総研、東京大、高知大、立教大、名古屋大、千葉工大、明治大、会津大

2020年12月5日、はやぶさ2はリュウグウのサンプルが入ったカプセルを地球に投下する。カプセルは、翌6日早朝に、オーストラリアのウーメラ砂漠に落下する予定だ。

ウーメラ砂漠

カプセルが着陸する予定のウーメラ砂漠。2018年12月に撮影。

出典:JAXA

地球へとリュウグウのサンプルを送り届けたはやぶさ2は、この後、新たな旅へと向かうことになる。最後の目的地に到達するのは、2031年7月になる予定だ。

カプセルを放出するはやぶさ2

カプセルを放出するはやぶさ2のイメージ。

イラスト:池下章裕

(文・井上榛香、編集・三ツ村崇志

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