世界各地では、わずか11日のあいだに、天問1号を含めて3つの探査機が火星に向けて打ち上げられた(7月20日、種子島宇宙センターからアラブ首長国連邦の火星探査機「ホープ(Hope)」が打ち上げ成功。7月30日には、米航空宇宙局(NASA)の火星探査機「パーセヴェランス(Perseverance)」が打ち上げ成功)。
赤い惑星と呼ばれる火星に、天問1号が到達するのは2021年2月の予定だ。「天への問いかけ」という意味を持つ天問1号は、火星軌道を回り続ける周回機、着陸機。そして火星表面を走行する探査車(ローバー)で構成されている。ただし、火星に到達しても、危険に満ちた惑星の表面にすぐに着陸するわけではない。科学者たちは2~3カ月をかけて、火星大気の状態を分析・評価する。着陸を試みるのはそのあとだ。
このミッションが成功すれば、中国は米国に続き、探査車を火星に着陸・運用させる2番目の国となる。NASAはこれまで、火星の表面に「ソジャーナ(Sojourner)」「オポチュニティ(Opportunity)」「スピリット(Spirit)」「キュリオシティ(Curiosity)」という4台のロボット探査車を着陸させてきた。キュリオシティは現在も稼働中で、火星に到着してから2837ソル(1ソルは火星の1日)、地球の日数にして2914日になる(米国時間:7月29日時点)。
過去を振り返ると、火星探査の試みは失敗する確率が高い。欧州宇宙機関(ESA)は火星探査機の着陸を2度試みたが、2003年と2016年のいずれも失敗に終わっている。1971年には、旧ソビエト連邦が探査機を火星に送り込み、無事に着陸させたものの、約20秒後に通信が途絶えてしまった。
中国は、天問1号の成功に自信を持っているはずだ。近年取り組んできた月面探査「嫦娥計画」が成功し、2つの探査機「嫦娥3号」(2013年)と「嫦娥4号」(2019年)が無事に月面着陸を果たしたからだ。
一方で、NASAの新たな火星探査機「パーセヴェランス」が、7月30日に打ち上げられた。パーセヴェランスは火星で、生命の痕跡調査と土壌サンプルの収集を行う予定で、いずれは収集したサンプルを地球に持ち帰ってくれるかもしれない。
NASA公式サイトによると、月や火星に着陸した探査機のなかで、もっとも遠くまで移動したのがオポチュニティだ。2004年から2018年にかけて、オポチュニティは45.16kmという距離をゆっくりと進んだあと、通信を断った。低電力(休眠)モードに入ったのは、砂嵐が起きてソーラーパネルに砂が積もったからだとされている。
月面探査機ならびに火星探査機の走行距離ランキング
2020年7月23日時点
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