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MacBook Pro 13インチモデル総ざらえ。Airや過去Proとも実力を比較(本田雅一) - Engadget 日本版

MacBook Proようやく新型MacBook Proの13インチモデルの上位版が届きました。最新の第10世代Intel Coreプロセッサ(Ice Lake)搭載モデルで、下位モデルが高いコストパフォーマンスを持つのに対し、こちらは絶対的な性能がどのぐらい出るのか? という視点に注目が集まります。

というのも、MacBook Pro 13インチモデル上位版(以下、"上位モデル"と書きます)は、28ワットTDPの設計で高い性能を安定して発揮できる反面、MacBook Pro 13インチモデル下位版(以下、"下位モデル"と書きます)に比べると、同一スペックではやや割高になる面もあるからです。

同じOSが動くわけではないですからWindows機と比べる意味はないでしょうけれど、Macの中の序列を考えると、やはり費用対効果や、性能がどんな場面で役立つかを知りたいところですよね。

MacBook Pro

......と、話は少し複雑になってくるのですが、先に性能結果の総論を書いておきましょう。28W TDPのIce Lakeは、MacBook Proの冷却性能の高さもあってか、予想以上に高速でした。

Geekbench 5の成績は(デスクトップ用ですが)昨年発売されたiMacのCore i9モデルと同等で、過去販売されたMacではトップと肩を並べるレベル。マルチコアの成績は、他に8コアや6コアの製品があるのでトップクラスとは言いませんが、クアッドコア搭載機の中ではダントツ。GPUはプロセッサ統合型の中では上位で、特にMetalのスコアはチューニングが施されているのかOpen CLに比べて優秀でした。

その結果、CinebenchなどマルチコアのCPU性能、DaVinchi Resolveによる動画書き出しともに良好な結果が得られています。しかも上位モデルならではの放熱性能で、高負荷時にもロングランで安定した性能を発揮してくれます。


LPDDR4は高価だが最大32GB実現に寄与

MacBook Pro

冒頭で"割高"と書きましたが、それには理由があります。決して上位モデルだからプレミアムが乗って高価になるわけではなく、それはメモリがLPDDR3からLPDDR4Xになるため。上位モデルならではの最大容量32GBなどにアップグレードしようとすると、少し高価になります。

実は前回のコラムでは気づいていなかったのですが下位モデルがお買い得に感じる理由の一つが、メインメモリのコストが第10世代Intel Coreモデルよりも安くなることでした。前回は下位モデルとMacBook Airの価格差を1万円と伝えたのちに2万円と訂正したのですが、実は16GBモデルでは1万円の差。これはメモリ増量の単価が8GBあたり1万円違っているからです。

つまり最新の低消費電力で帯域幅の広いLPDDR4Xは、その前のLPDDR3に比べて高価なんですね。結果的に高性能になっていれば高価でも問題はないのですが、現時点では大きくアプリケーションの実行速度に影響はしていないようです。

LPDDR4X採用による効果は、アクセス帯域の拡大よりも、低消費電力化によって搭載可能な最大メモリが2倍に増えたことですが、上位モデル標準の16GBを32GBに増量しようとするとプラス4万円。高精細な動画を扱う場合、あるいは大量のメモリを消費する画像分析・処理ソフトウェアなど目的が定まっている場合、この投資はとても有益なものになりますが、現時点では使い道をよく吟味することをお勧めします。

macOSはメモリが多くあると、それらを自動的にキャッシュとして使い、パフォーマンスを高めますが、かといって凄まじく高性能になるわけでもありません。

たとえばBlackmagic Designの方に取材をした際、DaVinchi Resolveはメモリへの依存度が少ないため4K/60Pの動画編集でも16GBあれば、メモリは不足しないと話していました。32GBメモリオプションは、メモリが大量に必要な使い方をする人以外は考えなくないいかもしれません(必要な人は自覚しているはずです)。

歴代のクアッドコア搭載Macでトップクラスの性能

さて、さっさと性能はどうなのか教えて欲しいという声も出てきそうなので、ベンチマークの結果とその考察を進めていきましょう。

テストしたのは標準構成のうち上位モデルに搭載されるIntel Core i5-1038NG7を搭載した製品。メモリは16GB、SSDは512GBを持つ18万8800円のモデルです。
MacBook Pro
比較的単純な(よくあるパターンの計算を行う)一連のプログラムを実行するGeekbench 5では、シングルコアで1240、マルチコアで4456という値が出ました。ちなみにCore i7-1068NG7を搭載するマシンの場合、シングルコアで1350以上、マルチコアで5000目前という数字が出ることが、Geekbenchのデータベースに集まる情報から判明しています。

MacBook Pro
▲Geekbench 5 CPU

シングルコアのスコアはCore i5モデルでも、既存のMacではトップに比肩する性能。Core i7モデルは過去最高の値です。シングルコアでは1250ぐらいでiMacのCore i9並。マルチは4400ぐらいでクアッドでは過去最高に達します。

前モデルはもちろんですが、デスクトップを含めて過去のGeekbenchデータベースによれば、クアッドコア搭載Macの中ではトップの性能のようです(もっとも高性能な製品は6以上のコアになってるからということもありますが)。

MacBook Pro

MacBook Pro

このことはCinebench R20の結果からも明らかで、1930というマルチコアでのスコア、シングルコアの423というスコア、ともに28W TDP版のIce Lakeが13インチクラスのノートパソコン向けとしては、かなり強力であることがわかります。

MacBook Pro

単純な処理スループットだけでいえば、同じ第10世代Intel CoreのComet Lakeの6コア版の方が高速なのですが、差はさほど大きくありません。一方でGPUはIce Lakeの方が優っています。

Intelの統合型GPU向けに調整? Metalの演算スコアが大幅に向上

MacBook Pro
一方、大きく進化したと言われる統合型GPUはどうでしょうか。GPU演算に使うAPIをMetalに設定した場合のスコアは1万を超えてきました。
MacBook Pro
Metalに最適化をしてるようで10000超えてiPad Proの最新モデルと比肩する性能です。Open CLのスコアは8800程度ですが、macOS向けアプリケーションでGPUを使うほとんどはMetalに切り替えてきています(Metalの方が性能を出しやすいため)。

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▲Geekbench 5 GPU

これは推測ですが、AppleはIntelと協力しながらIntel製GPUのMetalへの最適化を進めてきたのかもしれません。13インチというサイズで、消費電力と機能性、パフォーマンスのバランスを取ろうとしても(大型化した16インチモデルとは異なり)、中途半端になりがちです。 年内に出荷されると目されるIntelの新アーキテクチャTiger Lakeは、統合型GPUでIce Lakeの2倍の性能を発揮するとか。AppleがいつTiger Lakeを採用するのかはわかりませんが、Intel統合型GPUの性能が向上したということは、今後ともIntelのGPUに対してコミットしていくということの裏返しなのかもしれません。

外付けGPUにしても、消費電力をある程度抑えたものは性能面で大きく期待できないわけで、13インチモデルは統合型GPUを元に基本的なスペックや性能、価格を決めるというやり方は合理的でもあります。

可搬性、バッテリ駆動時間、パフォーマンスのバランス機

ちょっと脇道に逸れすぎたので、話を真ん中に戻しましょう。

Windows搭載ノートPCでは採用例がない28WのIce Lake採用は、結果的に"当たり"だったと思います。Comet Lakeは第10世代と謳われていますが、コアそのものの設計は以前のものと変わっていません。

前回のコラムでMacBook Proの下位モデルがお買い得ですよと書きました。そのモデルに搭載されているCoffee LakeとComet Lakeが採用しているCPUコアは同じなのです。それに対してIce Lakeはコア設計に手が入り、処理効率が上がっていますから、絶対的な性能はもちろん、消費電力面でも有利になります。

MacBook Pro

DaVinchi Resolveで、フルHD映像2つを重ね合わせ、テロップを入れた動画の書き出しは、下位モデルが27fpsなのに対して34fpsぐらいまで加速。Luminar 4での現像処理は、EOS RのRAWファイル100枚で下位モデルが47分だったところ、32分で終えることができました。

もちろん、本格的にGPUを活用したアプリケーションを多用するクリエイターの中には「これはProじゃない」と感じる人もいるでしょう。しかし、様々なテスト結果はMacBook Pro 13インチモデル上位版の素性が良いことを示しています。もちろん、さらに次の世代になれば性能は上がるでしょう。でもそれは当然のことです。

MacBook Pro
▲AJA System Test Liteによるストレージテスト結果

今回の製品、そしてそのベンチマーク結果を見て感じたのは、Appleは16インチモデルではRadeon(AMD)と、13インチモデルではIntel(の統合型グラフィックス)と連携しながら、製品のチューニングを行っていくのだろうなということです。

13インチモデルにも、15インチから16インチへの切り替えと同様の、フルモデルチェンジを期待していた人が多かったのではないでしょうか。もちろん、それは記事を書いているぼくも同じなんですけどね。

今やこのクラスのパソコンでは一番ベゼルが太いノート型コンピュータがMacBook Proの13インチモデルになってしまいましたが、Display-P3に対応した色再現が調整された、最大500nitsの輝度を持つHDR映像も表示できるディスプレイや、よく調整された音質のいいスピーカー、チャンネルあたり2つのマイクを用いて指向性を与えられた内蔵マイクなどは、13インチモデルにも盛り込まれています。

音質は16インチほどではないですが、それでもライバルに対してはずっとアドバンテージを保ち続けています。

上位モデルとはいえ、Core i5モデルはパフォーマンスを考えればリーズナブル。お買い得度で言えば低価格モデルが良い事は間違いありませんが、"現時点で"、"費用対効果が高いノート型コンピュータ"といった条件で切り分けると、Ice Lake搭載の上位モデルもなかなか負けていません。

このところのアップル製品は為替の影響もあって少しお買い得な印象がありますが、今回のテスト結果でもそのことを実感しました。


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