力(解像度)こそパワーとはまさにこのこと。
数年前まではしっかりしたスタジオでやるものだと思われていた3Dスキャンも、今やスマホで3Dデータが作れたりと、すごい時代になったものです。3Dプリンターとあわせて、個人でも面白い造形制作が楽しめちゃいますもの。
が、解像度や精度の面ではスタジオ撮影の方がハイクオリティなのも事実。とはいえ、3Dスキャンのために遠方のスタジオまで出向いてメイクなどの準備をするのも億劫。じゃあ、3Dスキャンスタジオを移動式にしちゃえば良くない?
これが、3Dスキャンスタジオ…?
サイバーエージェントの子会社、株式会社CyberHuman Productionsの「THE AVATAR TRUCK」は、そんなマインドから2019年末にできた出張型3DCGスキャンカー。忙しいモデルやタレントさんはスタジオに来る時間を確保するのが難しいため、逆に撮影現場にスタジオがお邪魔して撮影してしまおうというスタイルなのです。
すなわち、このトラックの中で3Dスキャンができてしまうッ! まぁ3Dスキャン自体はどんどん身近になってきてるし、システムもコンパクトになってきたんだろうと、コレを読んでそう思っているのならば、半分正解。
さて、ではどんな風に3Dスキャンするのか、中に入ってみましょう。おじゃましま〜す。
…What is this(なんぞこれ)?
壁と天井一面に配置された、圧倒的台数のミラーレスカメラ。これ全部、α7RIII+FE 90mm F2.8 Macro G OSSです。全部で55台あるらしいので、いやしくも金額を計算するとおよそ40万円×55台…。いやもう、おそろしくて総計は言えません。なんちゅうもんトラックに乗せてるんだ…!
「THE AVATAR TRUCK」は首から上の3Dモデルをつくる3Dフェイシャルスキャン撮影に特化していて、フォトグラメトリにより55枚の4360万画素写真から、顔の3Dモデルを生成します。その解像度たるや、わずかなほうれい線や産毛の1本も描き出すほど。
奥に見えるストロボも特別なもので、ESPER社の「The ESPER LightCage」という3Dフォトスキャン専用の光源を採用。光源が良いと高精度なスペキュラマップ(光の当たり方のデータ)が得られ、よりリアルな3Dモデルデータが生成できます。
リグも圧巻ですね。カメラとストロボのすべてを同時に操作する必要がありますから、ケーブルの量もすごい。ただ、スタッフさんいわく「バッテリーを交換するとカメラの設定が初期化されるので、再設定しなきゃならない」とのこと。ソニーさん、ぜひとも設定の記録を…。
ひとしきり興奮したので、実際に3Dスキャン撮影を味わってみました。あまりにも一瞬のセンセーショナルだったので、ちょっと地の文で伝えてみます。
レンズ、レンズ、レンズ─。どこに手を伸ばしてもレンズがある、そんな場所は滅多に無いだろう。それがトラックの荷台となれば尚更だ。丸椅子に座り、高さを合わせる、顔の正面は精細なディテールを拾う必要があるため、もっともカメラが多く配置されいる。
「それじゃあ、赤い印を見ていて下さい。ストロボと一緒に、3回シャッターきります」
スタッフが合図をして、暗幕をしめる。暗闇の中、僕は赤い印を見失わないように集中して見つめた。
……バチバチバチ!
1秒もしない須臾の間に、3度の閃光、3度のシャッター音が鳴り響く。55台のカメラが、一斉にシャッターを切ったのだ。シャッター音ってこんなにうるさくなるの? 光と音の余韻に陶酔していると「ハイ、終わりです」。え、もう撮れたの? マジ?
という、出来事としては一瞬なんですけど、未体験すぎる撮影でした。はしゃぐ場所ではないとわかってるんですけど、「THE AVATAR TRUCK」のバチバチ撮影は、ぜひ色んな人に味わって欲しい…。もう気絶に近い撮影ですから。
撮影された大容量のデータも、高速転送であっという間にPCに。おお、いっぱい撮れてる。こうして撮影された画像データは専用ソフトで3Dモデル化されます。されたものが〜〜…。
こちら! ↑の大量の写真からこの3Dモデルが作られた次第です。たった数秒の撮影でここまで撮れるものなのか…!
眉毛、まつげ、瞳に反射しているストロボもこの通り。レンズの解像力が活きてます。
こちらはテクスチャマップ(質感のみを表現したデータ)。高解像度のおかげで、シワの深度をリアルに表現したり、モデル生成時の修正の手間が少なくて済むとのこと。
これ、実際撮影してどんな風に使うのかといいますと…。
この映像に登場する桐島ローランドさんのアバターも「THE AVATAR TRUCK」で撮影したデータで作られたもの。こんな風に3DCGアニメーション的に動かすこともできます。まじでリアル。
ちなみに、「THE AVATAR TRUCK」の3Dスキャンシステムを動かしているのはヤマハのインバータ発電機(トラックなので電源がない)。ゴゴゴゴ張り切っておりました。
撮影時はトラックの一部がトランスフォームしたりと、ストロングスタイルな工夫も盛りだくさん。こういうところ、やっぱサイバーってすげぇって思っちゃいますね。
オフィスにも3Dスタジオ
ニコンのカメラで組んだこのリグは、全身のスキャナーではカバーしきれない、高精細なフェイシャルスキャンの為に作ったんですって 。オフィス内スタジオよりも移動式スタジオの方が解像度が高いっていうのも、なんだか不思議な話。
これは、↑のスタジオで撮影した3Dモデルを3Dプリンターで造形したもの。親指ほどの大きさでしたが、リアリティは充分。もっと大きく造形してみたいですね。
一方、こちらは全身をスキャンするためのリグ。フェイシャルスキャンと違いカメラやレンズバラバラなのは、カメラの場所によって被写体から距離が変わるから。球形のリグなら被写体との半径は一定ですが、全身を撮る=大きなスタジオだとそれも難しいですから。こっちは100台以上のカメラがあるそうな。ひょえ〜。
ストロボは4辺の壁バウンス。フェイシャルの場合は高精細さと高い精度でのストロボ同調が求められましたが、全身の場合は求められる照明が変わってくるのですね。
高精細+手軽=撮影チャンス多し
「THE AVATAR TRUCK」のいきさつで興味深かったのは、スキャンのために人をスタジオまで呼ぶのを覆した点でした。撮影スタジオは動かせないと思っていた時期が僕にもありましたが、スタジオが動いちゃえばもっと撮影のチャンスが増えるし、しかも解像度も充分と来た。
個人レベルでお世話になるなら、例えば結婚式なんかのお祝いにスタチューフィギュアを作るとか? 金額は応相談でしたが、個人で頼めない金額ではなかったですよ。あるいは、フォトグラメトリーや3Dモデルデータ生成にはツテがあるけど、撮影環境がないという人も何か見出だせるものはあるかも。3Dモデルはソフトの力ももちろんですけど、その前段階でハードの力が要求されるものもありますからね。解像度とか、機材とか。
にしても、カメラが並ぶってそれだけで、なんかこう、クるものがありますね。環境は超テッキー、データは超ハイレゾリューション、でも乗っているのはトラック。うむむむ、なんでもアイディアだなぁ。
自分の分身を作れる3Dスキャン体験「あなたの2号機」キャンペーンが4月15日(水)までありますので、興味あるかたはページをご確認ください。
Photo: ギズモード・ジャパン、ヤマダユウス型
Source: 株式会社サイバーエージェント
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April 09, 2020 at 04:02PM
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ソニーα7RIIIが55台ってナニゴト? 移動式3Dスキャンスタジオ「THE AVATAR TRUCK」が力技すぎた - ギズモード・ジャパン
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