動作周波数が最大800MHzのCortex-A7コアを搭載
STマイクロエレクトロニクスは2020年3月、マイクロプロセッサ「STM32MP1」シリーズの新製品を発表した。動作周波数が最大800MHzのデュアルコアArm Cortex-A7と動作周波数が最大209MHzのCortex-M4を搭載した製品で、ソフトウェアおよびピン配置は、従来製品(Cortex-A7の動作周波数が650MHz)と互換性がある。
STM32MP1シリーズは、電力効率の高いリアルタイム制御と高度な機能を統合したマイクロプロセッサ。Android用開発パッケージが追加された「OpenSTLinuxディストリビューション」のサポートや、クラウドへの対応などにより、容易で迅速なソフトウェア開発を可能にする。
新製品は、Cortex-A7コアの動作周波数を最大800MHzに高めることで、音声/オーディオ処理やHDビデオデコーディング、AI(人工知能)処理などの性能を向上させた。認証機能によるセキュアブートやワンタイムプログラマブルヒューズ、セキュアオペレーティングシステム(OP‐TEE)などを実装するなど、セキュリティ機能を強化している。また、鍵生成機能や署名ツール、STM32CubeProgrammer、ハードウェアセキュリティモジュール(STM32HSM)などのセキュリティツールセットも用意した。
STM32マイコンと同様に、The Qt Company製のHMIツールキット「Qt」やQtのQMLベースグラフィックユーザーインタフェースを活用して、開発効率を高めることができるという。さらに、「STM32CubeMX」や「STM32CubeProgrammer」といったソフトウェアツールに加え、Cortex-M4用のSTM32CubeIDEデバッガも利用可能となった。
認定のパートナー企業も増え、活用できるツールやソフトウェアがさらに充実。トレーニングサービスやエンジニアリングサービスといったサポートも行っている。
STM32MP1シリーズを応用した製品の開発を支援するため、PhytecやOctavo Systemsなどと協力し、STM32MP1ベースのシステムオンモジュール(SoM)やシステムインパッケージ(SiP)を提供している。例えば、Octavo製SiP「OSD32MP1P」は、STM32MP1やSTPMIC1、DDR3、オシレーターおよび、受動部品などが18×18mmの小型パッケージに集積されているという。
なお、STM32MP1シリーズは産業グレード品(Tj=−40〜125℃)で、800MHz動作のCortex-A7を搭載した新製品も10年間の連続駆動が可能。製品は既に量産中で、大量購入時の単価は約4.83米ドルである。
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